雪が積もり、あたり一面が真っ白になったとき。
愛くるしい表情と、ポテっとした佇まいで私たちを楽しませてくれるのが「雪だるま」です。

公園や道端で「キャーキャー」という声が聞こえたあとにその場所へ行くと、たいてい出現する雪だるま。つくる人によってキャラクターが違うのも見もので、バッタリ出会うとほっこりあたたかな気持ちになります。

さて、雪だるまは、一体いつからつくられるようになったのでしょうか?
調べてみるとはっきりとした記録は残っていないようですが、雪だるまは江戸時代の絵画に度々登場していたようです。ただ、当時は今とは少し違っていて本当に「だるま」のようでした。
代表的なのが、歌川広景「江戸名所道戯尽 廿二 御蔵前の雪(えどめいしょどうけづくし にじゅうに おんくらまえのゆき)」に描かれた巨大な雪だるま。大人の背丈よりも大きな雪だるまが、ズデンと街中に佇んでいます。お腹のあたりが丸くでっぱっていて、見た目は「だるま」そのもの。

葛飾北斎の「狂歌画譜 藐姑射山(きょうかがふ はこやのやま)」という絵本にも家族で雪だるまをつくる様子が描かれていました。父親らしき男性が墨でだるまの顔を描いていますが、雪なのに、一体どうやって墨で書いたのでしょうか?顔だけ素材が違ったのでしょうか?詳しいことは分かっていないようですが、きっと昔の人にとっての雪だるまは、縁起物として大切にされていたのだろうと想像できますね。

また、雪だるまは日本と西洋で形が少し違っているのをご存じでしょうか。
日本は二段に重ねた形が一般的ですが、西洋では三段ものが多いのだそう。「snowman(スノーマン)」と呼び、三段重ねになっているのは頭・胴・足と人の形を模しているのでは、と言われています。ニンジンで鼻をつくったり、マフラーや蝶ネクタイ、ボタンをつけたり。おしゃれな帽子を被せたりすることもあるのだそう。そういえば、映画「アナと雪の女王」に登場するキャラクター、オラフも三段重ねの雪だるまでしたね。

一方、日本の雪だるまはシンプル。石や草を目や鼻に見立てたり、木の枝で腕をつくったりと自然のものを使うのが一般的になっています。

さて、ここで雪だるまのつくり方をご紹介します。
まず、手のひらで小さな雪玉をつくります。その雪玉にまんべんなく雪がつくようにコロコロと転がします。ほどよい大小の玉ができたら、重ねて、装飾して完成です。
このときに「どんな雪を使うのか」がポイントですが、サラサラしたものだと固まりにくく崩れやすくなってしまうので、なるべく水分の含んだ雪を使いましょう。もしサラサラしていたら、じょうろなどで水を含ませ、かためてからつくることをおすすめします。

簡単ですので、ぜひやってみてくださいね。
雪だるまは子どもの遊びとして定着していますが、大人になってから真剣につくってみるのも意外と、おもしろいと思います。
最後に、私が出会った雪だるまを紹介します。
最近見た中で一番印象に残っているのが、こちらの雪だるまでした。

これは、奈良に住む友人の息子さんがつくったもの。見ての通りなんと、4段も積み重ねてあるんです。
どんぐりと葉っぱでできた表情はやさしげで、なんだかとっても楽しそう。
背景をよく見るとわかるのですが、この日、雪はそんなに多く積もっていなかったんです。
そもそも奈良は雪が降っても積もる機会が少ないので、この日はとってもレアでした。きっとこれをつくった息子さんは「この日しかない!」と言わんばかりに早起きしたのだろうなと、ワクワクする気持ちが伝わってくるようです。

豊かな表情で楽しませてくれる雪だるま。
雪が降ったらぜひ、つくったり探してみたりしてはいかがでしょうか。じんわりと心があたたまる思い出ができるかもしれませんね。


松下恭子
うつわ屋 店主・ライター
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。
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