寒い冬が終わり段々と温かくなってくると、花も蕾を膨らませ、草木が芽を出し、鳥や虫たちも動き出します。“木の芽どき”という言葉がぴったりの時期になりますね。極寒の北海道に住んでいたときは、とりわけ春の訪れが待ち遠しかったものです。ただ、このワクワクするような春の陽気も、長年花粉症に悩まされている人にとっては、憂鬱に感じられますよね。

しかし、全員が全員、花粉症になるわけでは有りません。なる人とならない人にはどういった違いがあるのでしょうか。
中医学では、花粉症を発症する人は、体を花粉から守る力が低下していると考えます。この「守る力」は“衛気(えき)”と呼ばれる体の防衛力です。この衛気は、体表や粘膜を覆い、体と外界との緩衝材になっています。衛気が無いと、例えばウェットスーツ(衛気)なしで、素っ裸で冬の海に入るようなもので、とにかく外からの刺激をダイレクトに受ける状態になってしまいます。

外が寒いと冷やされやすく、熱いと熱されやすく、花粉があれば花粉症症状が出て、ウィルスが多いときはすぐ風邪を引きます。そればかりか、大きい音や激しい色や光にも弱くなるとされています。この衛気の強弱が、花粉に強いか弱いかを決めています。衛気が足りないとすぐ症状を発症し、悪化します。衛気が十分にあると、なかなか不調が出にくい状態を維持できます。

衛気は、胃腸で食べ物から作られ、そして“五臓の肺”によって全身に張り巡らされます。なので、胃腸ケアと肺の養生が大切です。中医学で胃腸を指す、“脾胃(ひい)”は、肥甘厚味 (ひかんこうみ)といって、油っこくて味の濃いもの、そしてお刺身やサラダなど生モノや、体温より冷たい飲食物、過剰な水分によって弱るとされています。日々の食生活にそういったものが多い人は、衛気をつくる脾胃が弱っているため、花粉症症状をより強く発症しやすいでしょう。また生まれつき胃腸が弱いという方もいますが、そういう方はより食生活には注意が必要です。

脾胃のケアというのは時間がかかります。そして、例えば冷たいものを取るとすぐ下痢をすることが珍しくないように、意外とすぐに弱ってしまいます。なので、脾胃のケアを含めた花粉症対策は、冬からはじめて、じっくり続けておくことが重要です。特に年末年始のいつもと違う食事で、脾胃に負担をかけてしまったまま春に突入すると、不調がたくさん出ることでしょう。まずは今日からでも日々の食生活に気をつけてみてください。

<それでも花粉症の症状が出る時>
花粉症には、水っぽい鼻水やくしゃみが多い「冷えタイプ」と、目や肌が赤くなり、かゆくなる「熱タイプ」があります。そして悪化するとそれらを混合したタイプになります。冷えタイプは体を温めるもの、熱タイプは熱を冷ますものをとることで養生していきましょう。混合タイプは対処が難しいので、早めに漢方の専門家にみてもらうのが良いでしょう。
<冷えタイプにおすすめの食材>
しょうが、ねぎ、にら、パクチー、三つ葉、しそ、みょうが、鮭、えび、シナモン、唐辛子、山椒、こしょう、黒砂糖など
<熱タイプにおすすめの食材>
水菜、せり、大根、ほうれん草、セロリ、春菊、白菜、れんこん、オレンジ、レモン、りんご、バナナ、パイナップル、キウイフルーツ、豆腐・豆乳、こんにゃく、白ごま、緑茶など(フルーツは常温で食べましょう。)
食材による上記の対策に加えて、日々の食養生と、衛気の補給によい食材も取り入れましょう。
<衛気の補給におすすめの食材>
白米、もち米、豆類、キノコ類、いも類、アジ、イワシ、サバなど。

花粉症は、せっかくの春を残念な季節にしてしまいます。早めの対策をして元気に楽しい春を迎えましょう。適した漢方も色々ありますので、自分のタイプが良くわからない人は早めに漢方の専門家に相談してみてくださいね。

櫻井大典
国際中医専門員・漢方専門家
北海道出身。好きな季節は、雪がふる冬。真っ白な世界、匂いも音も感じない世界が好きです。冬は雪があったほうが好きです。SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず人気に。著書『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』 (ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)など。
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