春になると、スズランのような花を枝いっぱいに咲かせる「アセビ」。
小粒ながら白やピンクなどパッと目をひく華やかな色合いと、独特の甘い香りを漂わせ、春の風情を彩ってくれます。

アセビは、ツツジ科アセビ属に分類される植物。アシビ、アセボとも呼ばれ、日本の山地に自生しています。大きくても3メートルほどまでしか成長しない低木で、日陰でもよく育つ丈夫な常緑性の植物なので、公園や庭木によく植えられています。
アセビに近づいてよく見てみると、花は壺のような形をしていて、花冠の先がくびれて下向きにそり返っています。このために、蜜を吸いにくる虫たちは逆さまになりしっかりと掴まって、上手に吸っているようです。なんと、器用なのでしょうか。一度吸っている様子を見てみたいものです。

また、アセビは漢字で「馬酔木」とも書きますが、その由来はアセビが持つ強い毒性と関係があります。毒成分を持っているので、誤って馬が食べてしまうとフラフラに酔っ払ってしまうことから、漢字が当てられたのだと言われています。アセビという呼び名も有毒を示す「悪(あ)し実」が訛り、あしみ、あせび、アセビになったと言われています。
そのため、草食動物はアセビを食べないよう避けるのです。

そんなアセビを見てみたくて、近所の奈良公園を散歩してみるとたくさん咲いていました。

意識しないと通り過ぎてしまいそうになるほど質素な佇まいで驚きましたが、近づいてみるとかわいらしい花がたくさんついていました。


背丈が大きいものもあり、見上げると中が見えそうでした。ここから蜜を吸う虫たちを想像して、感心します。

なかには、こんなエキゾチックな色も。

なぜ、奈良公園にこんなにたくさんのアセビが咲いているのでしょうか。
気になって理由を調べてみると「鹿たちが避けてアセビ以外の草木を食べるため」と書いてありました。毒を持っているから嫌われて残ってしまったのか、なんだかかわいそうだなぁ..と思いながら眺めていると、なんとアセビの足元に鹿がたくさんいました。

ただ食べないだけで、鹿はアセビのことを本当に避けているわけではないようです。木陰が気持ちいいのかちゃんと寄り添ってくつろいでいる。この光景を見て、かわいそうだと思っていた気持ちが吹き飛び、ほっこりしました。
そんなアセビの花言葉は2つあります。「危険」と「清純な心」です。
私はアセビがなぜ毒を持って生まれてきたのかはわかりません。ですが、控えめなかわいらしさで、動物たちとも共生している。そんな実際の姿を見て、アセビというのは「あえて」自らを守る術として毒を選んだのかなと思いました。
毎年咲き続けるために、小さなよろこびを届けるために。
引き換えとして、毒を選んだのかもしれません。

アセビの一般的に語られるイメージと実際とのギャップに、もう一つの花言葉「清純な心」がよりいっそう響きました。
みなさんのお近くにはどんな色のアセビが咲いているのでしょうか。散歩がてら、ぜひ見つけてみてください。
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