醍醐の花見だいごのはなみ

旬のもの 2022.04.09

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全国各地で桜が開花していますね。待ちに待った、お花見シーズン到来です。

日本人にとって「お花見」といえば、ただ観賞するだけではなく、大人数で集まって楽しむ「宴会スタイル」が一般的でした。
桜の木の下にレジャーシートを敷いて、それぞれに持ち寄ったお弁当を囲んでワイワイ楽しむ。新年度のスタートや久しぶりの再会を祝いながら、春のあたたかな陽気を全身で感じる。お花見といえば、そんな光景が思い浮かびますね。

最近では、みんなで集まって..というのはなかなか難しい状況ですが、そもそもなぜお花見は、今のような形になったのでしょうか。

それが広まるきっかけの一つとなったのが、歴史上有名な「醍醐(だいご)の花見」です。

醍醐の花見とは、1598年の春に豊臣秀吉が京都の醍醐寺において催した宴のこと。
「花見がしたい!」と思い立った秀吉の号令で、700本の桜を畿内から醍醐寺にかき集めて移植し、三宝院の庭園をつくり、盛大な宴を開きました。
招待したのは、北政所(きたのまんどころ)、淀君(よどぎみ)、三の丸など女房衆約1300人。さらに、醍醐の山々に茶屋を設け、たくさんの女房衆が仮装行列を行ったそうです。
そして、この花見が行われた5ヶ月後に秀吉はこの世を去りました。

私は秀吉が、醍醐の花見をどのような思いで開催したのかは分かりませんが、この話から花見のもつ「華やかさ」と、その裏に見え隠れする「はがゆさ」を感じました。

生きていると良いことばかりではなく、自分の力ではどうにもならない現実に直面することがあります。袋小路に入って思い悩み、ときには色々なバランスを崩してしまうことも..。
そんなときに、心が動くことが一瞬でも身近にあると、気が紛れ、少しずつほぐれていくことがあります。花を見て「きれいだなぁ」と思ったり、ふと吹く風から「心地よさ」を感じたり。誰かと会ってドンチャン騒ぎをしながら楽しい時間を過ごすことも、きっとそうだと思います。そうして心がほぐれていくと、次第に冷静に考えることができるようになって自分を取り戻すきっかけにもなる。

これはあくまでも私の憶測ですが、派手さばかりが目立つ秀吉も、花見の華やかさを心の拠り所にしていた部分があったのではないだろうか、と思いました。はがゆい気持ちを紛らわすために余生も重ね合わせて、晩年に盛大な花火を打ち上げたことを思うと、なんだか感慨深い気持ちになります。

現在でも京都の醍醐寺は桜の名所として有名で、毎年4月の第2日曜日に「豊太閤花見行列」が開催され、終日境内は見物客で賑わっていると言います。

今年は皆さん、どんなお花見を楽しみますか?
形は変わっても桜は変わらずに毎年咲き続け、私たちの心に寄り添ってくれるだろうと思います。

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松下恭子

うつわ屋 店主・ライター
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。

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