漬物男子、田中友規です。
好きなサンドイッチはハムサンドです。
車でちょっと遠出したときに必ず立ち寄るのが
道の駅や地元の農家さんがやっている直売所です。
地元の人たちが、その土地で作って、その土地で食べる、
あまり流通しない野菜などを宝探しのように見て回るのがなんとも楽しい。
へぇ~こんなおっきなウドが安いなぁ、
はぁ~最近はパクチーを作る農家も増えいてるんだなぁ、
山間部だと、アナグマ肉あります!なんていう張り紙に驚くことも。
訪ねたその土地に、ますます興味が湧いてくるきっかけはいつも食べ物から。
このところ、すっかり春の陽気で、直売所に「菜」が増えました。
春の菜は柔らかくて、さっと湯がいて出汁で煮浸しがいい。

ほろ苦い大地の味が季節の変わり目を感じさせてくれるのを想像しながら
ずらりと並んだ菜を選びます。
花に近い部分と、葉の部分でまた顔が違うもので
どれがどの菜?とじっくり見ないと全部同じに見えてくる。
高菜、白菜、あぶら菜、わさび菜・・・ふむ、どれが良いだろう。
ふと手に取ったのは、からし菜でした。
みなさん、あまり馴染みのない菜かもしれませんが
実はからし菜の種は、ホットドッグにつけると美味しい粒マスタード。
ぴりっと辛い、あれです。

一時期、自家製マスタード作りに凝ったことがあり
1kgほど漬け込んだこともありました。そう、マスタードも漬物なのです。
酢、砂糖、塩、からし菜の種を、清潔な瓶にいれておくと
固い種子がふやけて保水力のあるゼリー状の膜が張りはじめます。
十分に味を吸い込んで殻が柔らかくなったら完成で、
市販のマスタードとはぜんぜん違う、フレッシュな辛味が楽しめますので
ぜひ一度試してみてください。
思い出したら、あの鮮烈なマスタードがついまた食べたくなって、
そうか、からし菜もマスタードの味がするのでは?と思考がぐるぐる。
よくハンバーガーにレタスがぺらっと一枚挟まっていますが
ただ単に彩りのために入っているのではありません。
レタスも実はほんのり辛味成分があって、肉の旨味とソースのまろやかさの中に
一本芯を通してくれる大事な風味の役割を果たしています。

ふんわりと甘みのある小麦のパン、しっとりと塩味を含んだハム、
バターとマヨネーズ、そしてマスタードの代わりにからし菜はどうだろう。
頭の中で完成したシンプルなレシピで、ハムサンドを作ってみることにしました。
食パンは薄切り8枚切りくらい。
表面をフライパンでさっと温め、軽く水分を飛ばします。
手早くバターを塗り込み、その上からマヨネーズを塗ります。
サンドイッチに水分は禁物。
バター、マヨネーズは油ですから、
具の水分が染み込まない防水の役割を果たします。
からし菜もよく水分を拭き取ってからパンに乗せ、ハムを重ねたら完成です。

主役はからし菜。
マスタードよりも辛さが際立ち、緑のほろ苦さが加わって大人のハムサンド。
昔からあるシンプルなサンドイッチだって
ちょっとした気づきで没頭できる魅力があるものです。
春ですよ、週末はサンドイッチを作ってピクニックかな。

田中友規
料理家・漬物男子
東京都出身、京都府在住。真夏のシンガポールをこよなく愛する料理研究家でありデザイナー。保存食に魅了され、漬物専用ポットPicklestoneを自ら開発してしまった「漬物男子」で世界中のお漬物を食べ歩きながら、日々料理とのペアリングを研究中。
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