春になると、ほんのり甘い香りが漂ってくる気がしています。正確には、切なさが混じった甘い香り。そんなことを感じられる歳になりました。
今回は、晩春の季語に使われることもある「ホタルイカ(蛍烏賊)」を紹介します。

ホタルイカは、胴長約7cm、重さは10g前後の小さなイカです。
食味は抜群で丸ごと食べられることから、旬である春を待ちわびるかたも多いことでしょう。
普段は水深約200〜600mの深海で生活しており、3〜5月になると産卵のために浅瀬に浮上してきます。

富山湾の海岸では、産卵のために大量に押し寄せたメスの個体が打ち上げられる「ホタルイカの身投げ」と呼ばれる現象が見られます。
この現象は、産卵で力を失った個体や海岸に迷い込んだ個体が、海流によって流されてくることで起こるといわれています。青白く光を放つホタルイカの群れは、生命の力強さや大自然の神秘を感じさせてくれます。

ホタルイカが青白く光る理由としては、敵に対する威嚇、太陽光から自分の影を消して身を守るなど、さまざまな意味があるようです。
この「ホタルイカの身投げ」が見られる海域のことを、「ホタルイカ群遊海面」といい、国の特別天然記念物に指定されています。
月齢や潮汐(ちょうせき)、天気などの特定の条件が揃わないと見られない現象ですが、一度は幻想的な光景を間近で見てみたいですよね。

余談ですが、ホタルイカの産卵は魚釣りにも影響を与えています。
ホタルイカが接岸する地域では、「ホタルイカの身投げ」の時期になると、ホタルイカパターンという春特有の釣りかたが成立します。
ホタルイカパターンとは、産卵のために浮上してきたホタルイカを捕食するために集まった魚を、ホタルイカに模したルアーで釣り上げるという方法です。
ホタルイカを食べるために集まった魚は活性が高い(エサを活発に食べる状態)ことが多く、好釣果が見込めるのです。

ホタルイカが接岸する地域の方は、現地のルールやマナーを守って、ホタルイカパターンに挑んでみてはいかがでしょうか。

吉村良太
コンテンツエディター・釣りと料理が好きな会社員
好きな季節は実りの秋。心地よい気温や澄んだ空気、そして冬を前にした哀愁もたまらなく好きです。魚は冬を乗り越えられる脂肪を蓄えるために荒食いをする季節でもあります。旬の魚に興味を持っていただけたら幸いです。
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