こんにちは、こんばんは。ライターの栗田真希です。
みなさんは「青やぐ」という言葉、使ったことはありますか。
『精選版 日本国語大辞典』ではこのように解説されています。
草木が青々と色づく。茂った葉の色が鮮やかに見える。
どうですか。ちょっとこの記事を読んでいる画面から顔を上げて、近くにある草木を眺めてみてください。新緑の季節、みなさんの見える世界は青やいでいますか? いますぐには見ることができないという方は、散歩にも適した気持ちのいい季節なのでちょっと休日にお出かけして見ていただきたいです。
春の花が散ったあとの青やぐ世界も、ちょっとじっくり眺めたくなるくらい、いいものです。

長崎県の波佐見町という自然豊かな場所に住んで約2年が経ちました。東京に住んでいたときよりも、草木の青やぐ姿を日々楽しんでいます。
草木の色について、波佐見町でお世話になっているおばあちゃんの忘れられない言葉があります。わたしが地元のおじいちゃんと枇杷の実を収穫して、おばあちゃんのいるお食事処に持っていったときのことです。
収穫した袋にまぎれていた枇杷の葉を、おばあちゃんが手にとって撫でました。黒々としたつやのある葉と、産毛に包まれた黄緑の若葉。そのおばあちゃんは少女のようにこう口にしたのです。
「緑ってひと言でいうけれど、世の中にはいろんな緑があるわねえ。きれいね」
わたしは、自分がどれだけ緑の色彩を知っているだろうかと考えました。きっと、波佐見で自然に囲まれて暮らしてきたおばあちゃんの知る緑と、自分の知る緑ではまったく違うはずです。

古代の日本人は色を4種類(赤・白・黒・青)で表現していたので、草木の緑を青として表現し続けてきたと言われています。だから「青やぐ」という言葉も、"緑"ではなく"青"で表現しているのでしょう。
でも、すべての人が草木に囲まれた暮らしをしていた古代、言葉では表現しきれなくても、きっと人々は草木の色を繊細に見分けていたのではないかと、わたしは思うのです。

草木の種類、日当たり、風。いろんな要素が組み合わさって、そのときそのときにしか見られない、草木のあざやかさと出合えます。この季節、青やぐ景色を眺めて、そのうつくしさをもっと深く知り、愛でたいです。

栗田真希
ライター
横浜出身。現在は東京、丸ノ内線の終着駅である方南町でのほほんと暮らす。桜をはじめとした花々や山菜が芽吹く春が好き。カメラを持ってお出かけするのが趣味。OL、コピーライターを経て現在はおもにライターとして活動中。2015年準朝日広告賞受賞、フォトマスター検定準一級の資格を持つ。
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