こんにちは。気象予報士の今井明子です。
空を眺めていると、時折シャボン玉のような虹色に色づいた雲を発見することがあります。
これは彩雲と呼ばれ、古くから瑞祥(ずいしょう)として知られてきました。
虹と同様に、たまたま見つけると、「何かいいことがあるかも!」とかなりテンションが上がる人も多いのではないでしょうか。
なぜ、雲が色づくのでしょうか。それは、光の回折と干渉によるものです。
まず、雲はたくさんの小さな水や氷の粒でできています。そして、太陽の光は水の粒に当たると回り込むという性質があります。これが回折です。太陽光は、波長の長い赤色から、波長の短い紫色まで、さまざまな波長の光が混ざって白い色をしています。
しかし、水の粒にぶつかって回り込む角度は波長によって違います。波長の長い光の方が大きな角度で回り込むのです。すると、白かった太陽光の色が分かれて見えるようになるのです。このとき、雲の粒の大きさによって光の回り込み方が違うため、雲の粒の大きさによっても色の見え方が変わってきます。
また、雲の粒はたくさんあるので、回折された光はぶつかり合います。すると、その光同士のぶつかったところの波長が強まったり打ち消しあったりします。これが光の干渉です。シャボン玉やDVDの裏側が不規則な虹色に見えるのと同じことが、空でも起こっているのです。
実は彩雲は季節や時間帯を問わずいつでも見られ、見つけるのは意外とたやすく、コツをつかめばすぐに見つけることができるようになります。
ポイントは、太陽のすぐ近くに巻積雲(うろこ雲)や高積雲(ひつじ雲)、積雲(綿雲)があるときで、その雲の端を見ると、色づいていることが多いのです。ただし、太陽を直接目で見ると目を傷めるため、必ず太陽は建物などで隠しながら雲を見るようにしてください。
発見するコツがわかっても、ありがたみが減るかというとそういうわけでもなく、「あ! 見つけた!」とやはりなんだかうれしい気分になってしまう彩雲。空を見上げて步くのがますます楽しくなってしまうんですよね。
今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
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