こんにちは。料理人の川口屋薫です。
今日のお話は夏の季語でもある「にんにく」です。
にんにくの古名は「大蒜(おおびる)」と言い、今の「にんにく」と呼ばれるようになったのは、室町時代初期頃からだそうです。
今は平仮名かカタカナ表記が一般的で、漢字の意味に触れる機会が無かったので調べてみたところ、匂悪•匂憎(においにくむ)や仏教用語の忍辱(外からの種々の侮辱や迫害を耐えしのんで心を動かさないこと)からきたそうです。
仏教の教えで、にんにく、ねぎ、にら、らっきょう、のびるなど強い臭いをもつ野菜は「欲情や怒りを起こす」として食べることを禁じていたそうですが、僧侶達が隠れてにんにくを食べた時の隠語として使われていたともされています。
にんにくが隠語だったかも知れないとは驚きですが、さらに、にんにく自体にも驚きの事実があることがわかりました。
一般的にメロンの糖度は約14度〜18度と言われていますが、にんにくの糖度は約40度もあるそうです。倍以上あるのに、なぜそれほどの甘味を感じないかというと、人間は果物や砂糖などの「単糖」や「ショ糖」のみ甘味を感じるのに対して、にんにくは「多糖類」に入るからだそうです。
多糖類とは、そばや玄米にも多く含まれている糖質であり、味覚的に甘さを感じない糖質のことを言います。にんにくは多糖類に入り、私達のエネルギー源になる糖質が多く含まれていると言われています。さらに、にんにくに含まれる「多糖類フルクタン」という食物繊維は腸内環境を整えてくれる働きがあると言われています。
さて、にんにくは一年中食べることができる野菜なので、旬の時期が今なのかピンと来ませんが、北は北海道、南は沖縄まで春から夏にかけてが収穫時期です。
青森県は、言わずと知れたにんにくの一大産地ですが、6月から7月にかけて収穫されます。
この時期、みずみずしく一際白さが輝いている「新にんにく」が出回ります。直売所や地元の野菜を扱うスーパーなどで買える期間限定にんにくです。
あまり日持ちがしないので、すぐに調理します。一個丸ごとアルミホイルに包んで蒸し焼きにしたり、醤油やオリーブオイルに漬けます。
今日のレシピは、新にんにくのスクランブルエッグをご紹介します。
熱々の卵の湯気がフレッシュな香りを運んでくれますよ。
一般的なにんにくでも作れるポイントも書いていますので、よかったら作ってみてください!
新にんにくのスクランブルエッグ
材料(2人前)
•新にんにく 2片
•卵 2個
•塩 少々
•オリーブオイル 小さじ1
•イタリアンパセリ お好みで
作り方
①薄皮のついたにんにくを茹でます。
②薄皮を取り除いて、フォークで粗めに潰します。
③ボールに卵を溶いて、②と塩を少々入れて混ぜ合わせます。
④フライパンにオリーブオイルを入れて、③を入れて菜箸で手早く混ぜて、軽く火が通れば完成です。
⑤お好みでみじん切りしたイタリアンパセリをかけてください。
〜一般的なにんにくの場合〜
③に牛乳を小さじ½加えて、オリーブオイルの代わりにバターにするとまろやかな風味になります。
お好みでベーコンやトマトを加えても良いですし、手についたにんにくの臭いは、トマトのヘタで擦るとわりと消えます。
川口屋薫
料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁
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