プラネタリウム

旬のもの 2022.06.18

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こんにちは。星空案内人の木原です。

星空が恋しくなる時期になりました。南の宙には春の星座、東からは夏の星座が昇ってきている頃なのですが、なかなかその姿を見せてくれません。そんな梅雨時期でも、さらに言えば昼でも、場所と時間を問わず星空を見ることができる場所があります。その場所はプラネタリウム。日本は世界でも有数なプラネタリウム大国で、国内にあるプラネタリウムの数は世界第2位。行ったことはないけど存在だけは知っているという人も多いのではないでしょうか。

プラネタリウムの起源は、紀元前にまでさかのぼります。星空は手を伸ばしても届かない世界。しかし、私たちの暮らしに必要な暦を知るために不可欠な存在だったため、手元で星空を調べることができる天球儀と天体運行儀が作られました。天球儀は球体に星や星座などを描いた地球儀の星空版のような道具。天体運行儀は機械仕掛けで惑星の動きを再現する道具です。この2つを組み合わせたものが、今のプラネタリウムにつながります。

プラネタリウムという名前が初めて登場したのは18世紀頃。当時、明け方の宙に水星、金星、火星、木星、月が一度に見える珍しい現象がありました。その頃は一般市民に星空の知識は普及しておらず、”世界が終わる”などのデマが広がっていました。それを知ったオランダのアイジンガーは“一般に広く正しく星空を理解してもらう必要がある”と考え、自宅の天井に太陽や惑星を吊り下げ、毎日正しい位置を示す模型を7年かけて作り上げました。その模型は惑星を示す“プラネット“と、何かを見る場所を示す”アリウム”を合わせてプラネタリウムと名付けられました。

それから時代が経ち、1923年にはレンズを使った投影機から星空の映像をドーム型の天井に映すプラネタリウムが完成しました。この投影機を使ったプラネタリウムが現在では主流となり、世界各地で星空を知るための道具としてだけでなく、エンターテインメントや癒しの場所として親しまれ続けています。

たまに、“プラネタリウムのような星空“というフレーズを聞きます。星空を再現するために作られたプラネタリウムが、いつの間にか本物の星空よりも私たちの身近な存在になったことを示すような言葉です。プラネタリウムをきっかけに、本物の星空を見上げてくれたら嬉しいです。とは言っても、天気には抗うことはできないので、雨模様が続く日はプラネタリウムで星空を満喫しましょう。

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木原美智子

星空案内人
広島県出身。瀬戸内の宙を見て育ちました。好きな季節は、コスモスが咲き、凜とした空気が漂う秋。宙を見上げるのが好きなので、星だけじゃなく宙にあるもの、宙に関わる文化に興味があります。ペンギンと野球も好き。

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