黒きくらげ

旬のもの 2022.07.29

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薬膳なんてよくわからない!という人は、黒きくらげを食べて!

薬膳の知識って気血水や陰陽五行やら、なんだかよくわからないという声をよく聞きます。そんな人には、「まず黒きくらげを食べて」とお伝えしております。
それは黒きくらげには、体を元気にする力が満載だからです。今回は、薬膳的な黒きくらげのお話をしましょう。

黒きくらげはキノコの一種です。黒きくらげには、ビタミンB群や鉄分、食物繊維、マグネシウム・カルシウムなどのミネラルも含まれる栄養たっぷりな食品です。

黒きくらげは平性で甘味。寒熱の偏りがなく、冷え症でも熱がこもりがちの人でも食べられます。甘味ということは、滋養作用が有るということで、体を元気にしてくれます。薬膳からみた力では、血をきれいにして足りない血を補い、五臓の腎にある生命力の根源である「精」を補うものとされています。薬膳として使われるときには木耳(もくじ)と呼ばれます。木の耳ってそのままですね。 

毎月の月経で血を失う女性にはもちろん、加齢に伴い元気が低下してきた男性にもおすすめです。そもそも五臓の腎に有る精は、どんな人でも加齢に伴って減ってくるので、黒きくらげは、誰が食べてもプラスになる食材と言えます。またきくらげのようにぬめりのある食材は全般的にうるおいを補ってくれるとされ、肌の艶の改善にも良いですよ。

ちなみに、白きくらげと黒きくらげはそもそも違う植物で、薬膳的にも違う働きを持ちます。黒きくらげは滋陰補血、涼血止血、益精で、血と潤いを補い、精を補うものとされます。対して白きくらげは滋陰潤肺、益胃、生津で、胃腸を調えて潤いを補うものとされています。肌や喉の乾燥、喉がよく乾いてコロコロ便がでるような方には白きくらげもいいでしょう。

黒い食材で「腎」を強くする

中医学では、黒いものは五臓の腎を強くすると考えます。腎は、成長、発育、生殖に関与し、生命活動の根源とも言える「精」を蓄える場所です。
腎が元気で精が十分にあると、歯も骨も耳も、記憶力も生殖機能も元気だと考えますが、弱ると足腰に力が入らない、耳が遠い、記憶力が低下する、歯が弱る、髪がうすくなる、尿が近くなる、記憶力が低下するなど、いわゆる老化現象が出るようになります。

加齢と共に腎が弱っていく/精が減っていくのは仕方がないことですが、夜ふかしや過労、暴飲暴食、座りすぎ、冷え、ストレスなどから腎を弱らせてしまうと、生長発育や生殖機能に影響がでて、不妊症、脱毛、無気力、歯が弱る、骨や筋が弱り足腰に力が入らなくなります。また腎はホルモン分泌との関わりもあるので、腎の弱りは更年期障害が早く、そして辛くでることにも繋がります。

腎は弱ってから回復させるより、できるだけ弱らせないことが重要なので、黒きくらげなど黒い食材を積極的に摂るようにしましょう。黒い食材にはその他、黒豆、黒米、黒ゴマ、昆布やワカメ、海苔、ひじき、黒砂糖、黒酢などがあり、それらは腎の働きを高めてくれると考えます。

黒きくらげは、味に癖がないので炒め物に入れたり、スープに入れたりと色んなものに使えます。生のものは、大きくて光沢があり、肉厚なものを選びましょう。生のものはそのままを刻み、乾燥したものは水で戻してから刻んでおき、小分けにして冷凍しておけば何にでも追加できます。生のものはそのままだと湿疹がでたりすることもあるので、できるだけ加熱してたべましょう。

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櫻井大典

国際中医専門員・漢方専門家
北海道出身。好きな季節は、雪がふる冬。真っ白な世界、匂いも音も感じない世界が好きです。冬は雪があったほうが好きです。SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず人気に。著書『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』 (ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)など。

櫻井大典|ゆるかんぽう

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