夏になると涼をもとめて避暑地へ行きたくなります。
標高が高い山奥で、川のせせらぎを聴きながら、気持ちいいそよ風にあたって、おいしいご飯やお酒を楽しめたらどんなに最高だろう..。
そんなワガママを叶えてくれる場所があります。それが、夏の風物詩「川床(ゆか)」です。
川床とは、5-9月頃まで京都や大阪で楽しめる行事で、料理店が川の上や近くの場所に座敷をつくって料理を提供することを言います。

別名「納涼床(のうりょうゆか)」とも呼ばれていますが、さらに地域によっても少しずつ呼び方が違っています。京都鴨川では「ゆか」、貴船や高雄では「かわどこ」、大阪北浜では「かわゆか」と呼ぶのが一般的で、これは各地の川床を区別するために呼び分けているとも言われています。
その歴史は古く、はじまりは江戸時代の初期。豪商が鴨川の河原に見物席や茶店を出したことがはじまりだと言われています。やがて、石垣や堤が整備され、近くに花街もできて歓楽街として賑わいました。祇園祭の鴨川で神輿を清める「神輿洗い」は、見物客で大変賑わったと言います。

江戸時代中期には、約400軒もの茶屋が浅瀬に床几(しょうぎ)を並べたり、張り出し式のものが出て「河原の涼み」と呼ばれるようになりました。
明治時代になると、7-8月頃に床を出すのが定着し、鴨川沿いにずらりと並ぶようになりました。その後は台風で壊滅的な被害を受けたり戦争の影響で川床が消えた時代がありましたが、1952年には「納涼床許可基準」が策定され、再び数軒のお店が営業をスタート。今では、夏の風物詩として定着するようになりました。
川床はよく「天然のクーラー」と呼ばれますが、まさにそうだなぁと思います。
昔はクーラーも扇風機もなかった時代。すこしでも涼しさを体感するために、人々は色々な工夫をしてきました。音で涼を味わう「風鈴」、天然の素材で風を送ったり遮ったりする「団扇」や「すだれ」、地表の温度を下げるだけでなく視覚的に涼しさを感じる「打ち水」など..。
川床もそうですが、昔から続く涼を取る工夫には五感を使って夏を楽しむ知恵と工夫が詰まっているなぁと思います。

今年の夏は少し足を伸ばして、「川床」を楽しみに行ってみてはいかがでしょうか。
きっと、涼しさ以上のご褒美と夏の思い出が待っていることだろうと思います。


松下恭子
うつわ屋 店主・ライター
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。
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