こんにちは。写真家の仁科勝介です。
全国各地で花火大会や夏祭りに出会うと、日本の広さを感じます。旅をしていたとき、多くはないなりに、花火大会や夏祭りの日と重なることがありました。ぼくにとっては初めてのお祭りだとしても、その土地の方々にとっては、伝統ある行事です。
もし、「うちの花火大会は小さいよ」と言われたとしても、いざ目の前で花火が打ち上がると、誰もが息を呑んで見守りましたし、地域のこぢんまりとした夏祭りだとしても、屋台が並んでいる景色に出会うと、いつも同じようにワクワクするのでした。わたしたちの心に眠るハレとケの中の「ハレ」というエネルギーは、不思議と体に染み込んでいるものだなあと感じています。

そして、その身体的な感覚はなぜだろうかと、もう少し細かく掘ろうとすると、花火大会も、夏祭りも、始まりの由来は「慰霊」や「鎮魂」への願いが込められていることと、繋がっている気がしています。
花火大会は、江戸時代に隅田川で始まったとされていますが、当時流行していた疫病や、飢饉による犠牲者に対する慰霊の思いから、お祭りごとで花火を打ち上げたのが、起源だと言われています。同じく、古くから続く夏祭りも、台風や旱魃(かんばつ)に見舞われることなく、農作物が無事に収穫できるようにと願いが込められているものは、多いです。

きっと、こうした由来ごとは、今の時代でも完全にないがしろにされていることはないと思います。時代が進み、わたしたちの社会や価値観が次々と変化していく中で、数百年経っても、花火大会や夏祭りが決して過去の存在ではなく、今もわたしたちにとって身近なものとして、残り続けています。
このことは、夏の風物詩を楽しむという根底を持ちながらも「誰かを思う」「何かを願う」という心が、完全には消えていないからだと感じるのです。ここ数年、花火大会が中止になりつつも、感染症の収束の願いを込めて、サプライズで花火が打ち上げられていたことは、やはり、花火に対する意味合いが、原点に還ったように感じられたのでした。

先人と同じように、花火の音に、色の輝きに、夏祭りの賑わいに、パッと心が照らされて、時には何かを思い、何かを願い、そして、明日を生きるエネルギーが湧き上がることは、すごく幸せなことではないでしょうか。昨今はなかなか難しい状況ですが、あと50年経ったとしても、花火大会も夏祭りも、変わらずに残り続けて欲しいですよね。

タイトル写真:三重県亀山市|2018年
写真:仁科勝介

仁科勝介
写真家
1996年岡山県生まれ。広島大学経済学部卒。2018年3月に市町村一周の旅を始め、2020年1月に全1741の市町村巡りを達成。2020年の8月には旅の記録をまとめた本、「ふるさとの手帖」(KADOKAWA)を出版。好きな季節は絞りきれませんが、特に好きな日は、立春です。
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