こんにちは、ライターの高根恭子です。
私が住んでいる奈良県には、古くからの日本家屋がたくさん残っています。
補修して今でも住み続けている家や、空き家のまま朽ちていく家などが混在していて、歩くだけで昔の息遣いを感じるようです。
私も幼い頃は日本家屋に住んでいました。和室に縁側、庭園がある典型的な造りだったのですが、そのなかでも特に思い出深いのが「障子」です。

障子とは、木枠に紙(おもに和紙)を貼っている建具のことを言いますが、もともとは「障(さえぎる)」「子(小さな道具)」という意味で、襖や戸、屏風などの総称でした。
現代の障子が生まれたのは平安時代。もともとは寝殿造の外回りに使われていた遣戸(やりど)が原型でしたが、外の明かりを通すように木枠に紙を張る「明障子(あかりしょうじ)」が登場し、一般的なものとなりました。
また、障子に使われる紙は薄くて丈夫な和紙が主流でした。和紙は光を均一に広げて柔らかくしてくれるので和室の雰囲気にぴったり。保温性や通気性にもすぐれているので、障子には欠かせないものとして重宝されてきました。

その後、ガラス戸やカーテンが普及することで障子の数は減っていきましたが、現代の障子はガラス戸と二重に組み合わせて和洋ミックスにしたり、異素材を使ったりとかたちを変えてつくられ続けているそうです。
さて、私にとってそんな障子との思い出といえば「遊び道具」だったことです。
トトロのワンシーン、さつきとメイが和室を走り回るように、私たちも兄弟3人でよく走り回っては障子をあけたりしめたりして遊んでいました。そして、今でも家族に申し訳なかったなぁと思うのが、障子を破いていたことです。
障子は指で押すとカンタンに破れて穴があいてしまうのですが、そんなことが遊び盛りの子どもにわかってしまうと、もうたいへん。ためらいなくブスブスとさして、破れたところから顔を出し合ってキャッキャと笑い合っていたものでした。
私たちが破っては、おばあちゃんが直し、破っては、両親が直し、の繰り返し..。
いま思えばすごく迷惑なことをしていたのだなぁと猛反省ですが、怒られてシュンとしながらも、おばあちゃんや両親が定期的に障子を張り替える様子は側でよく見ていました。

障子紙、はけ、糊、カッターなどを使ってしわにならないようゆっくり丁寧に張る。たまに私たちもやり方を教えてもらって挑戦しては失敗して、よく笑われていましたし、張り替えるときにふんわり香る糊のにおいや、新しい障子の柔らかな光の入り方など今でもありありと覚えています。
そんな思い出たちもまるごと、障子には詰まっているのかもしれませんね。
現代ではなかなか見なくなった障子ですが、古き良き日本の文化を大切な思い出とともに残していけたらいいなぁと心から願います。


高根恭子
うつわ屋 店主・ライター
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。
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