こんにちは。気象予報士の今井明子です。
木枯らしが身に染みる季節になりました。この季節、天気予報を見ると「冬将軍」という言葉をちらほらと耳にすることがあります。冬将軍とは、とても厳しい冬の寒さのことを指します。
日本で冬将軍としてたとえられるのが、冬の季節風をもたらすシベリア高気圧です。
冬はロシアのシベリア付近で地面がキンキンに冷えて、その地面の上で冷やされた空気がシベリア高気圧を作ります。このシベリア高気圧から吹き出す冷たく乾燥した北西風が冬の季節風です。

冬の季節風は、日本海を渡る間に湿って日本海側に雪を降らせますが、雪を降らせた後は乾燥し、日本の中央にある山々を超えて太平洋側に吹き降ろします。これが空っ風や木枯らしなどと呼ばれます。
冬になると、大陸に高気圧が、太平洋側に低気圧がある「西高東低」の気圧配置になりますが、天気図にこの気圧配置が現れたら冬の季節風が吹くということです。しかも、高気圧と低気圧の間の縦じま模様の等圧線の間隔が狭くなればなるほど、体の芯まで冷えるような強い風が吹くのです。

さて、厳しい冬の寒さのことを、なぜ冬将軍と呼ぶのでしょうか。これは19世紀のナポレオンの逸話がもとになっています。ナポレオンがロシアに攻め込もうとしたときに、例年よりも早く冬の寒さが訪れたため、フランス軍の軍備が冬の寒さに対応できず、撤退を余儀なくされました。これをイギリスの記者が「ロシアの冬将軍にナポレオンが破れた」と表現したことで、この言葉が使われるようになったというわけです。フランス軍を撤退させたのも、日本に毎年襲ってくるのも、どちらもロシアの厳しい冬の寒さなんですね。

ちなみに、冬将軍はもとはといえば「General Frost」と表現されていました。でも、日本語に直訳して「霜将軍」としてしまうと、日が昇るとあっという間にとけてしまいそうで、なんだか弱そうな感じがします(もちろん、霜は農作物の大敵なので、なめてはいけないのですが)。そう考えると、ここであえて「冬将軍」と日本語訳したセンスが光りますね。

しばらくは冬将軍の顔色をうかがいながら、寒さに身を縮ませる日々が続きます。こんなときは、暖かい家にこもってヌクヌクと過ごすのが一番です。

今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
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