こんにちは。写真家の仁科勝介です。
冬になると、寒さのことを考えるばかりですが、鹿児島県の離島や沖縄県をはじめとする南国では、12月中旬ごろからさとうきびの収穫が始まります。植える時期によって収穫期も違うので、すべてが同じではないものの、「夏植え」と呼ばれる夏に植えられたさとうきびは、約1年半かけて成長し、冬から春にかけて完熟を迎え、収穫となるわけです。成長したさとうきびの高さは約2mにもなり、青空と緑の景色は圧巻です。

今回はとてもシンプルに、12月に沖縄を中心とした南国の離島をアイランドホッピングしていた時期があるので、そのときに撮った写真をまとめました。


当時、一気に沖縄の離島を20ほど巡ったのですが、さとうきび畑はどの島にもありました。そして、特によく覚えているのは、南大東島の製糖工場の煙突に書かれた「さとうきびは島を守り島は国土を守る」という言葉です。
南大東島は沖縄本島から東へ約400km離れた島です。すぐ北には北大東島もあります。そして、上の言葉を見たとき、ハッとさせられて、ぼくはそれから国境離島という概念も知りました。それまでは、さとうきびは南国の作物だなあ、としか捉えていなかったのです。このとき初めて、さとうきびの産業があることは島を守ることでもあり、それは国土を守ることでもあるのか‥‥、という概念に気づかされました。

もっと、産業の仕組みはどうだとか、国境離島での政治の話はどうだとか、という点までは知識が足りていないので、控えさせていただきます。ただ、目の前にある景色には意味があって、そうした景色が伝統や文化や生活に、色濃く結びついているのだ。その集合体がひとつの日本という国であり、違う景色があるからこそ、不思議で多様性があって面白いのだと、あらためて感じさせられたのです。
暦とさとうきびに関していえば、宮古島の宮古地区には「さとうきび栽培暦」というものがあり、今年12年ぶりに改訂されたそうです。日本全体に暦があるのと同じように、さとうきびにも暦があります。思えばいろんな作物もそうでしょう。わたしたちは地域によって違いのある自然のもと、日々の些細な変化を、コントロールするというよりも、知った上でリスペクトしたり、趣として味わったり、個性として受け止めたりしながら、長らく生きてきたように思います。
ちょうど今ごろ、さとうきびの収穫が始まったのかなあと、想像をしています。
写真:仁科勝介

仁科勝介
写真家
1996年岡山県生まれ。広島大学経済学部卒。2018年3月に市町村一周の旅を始め、2020年1月に全1741の市町村巡りを達成。2020年の8月には旅の記録をまとめた本、「ふるさとの手帖」(KADOKAWA)を出版。好きな季節は絞りきれませんが、特に好きな日は、立春です。
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