こんにちは。料理人の川口屋薫です。
最近散歩をしていて、薔薇や紫陽花の寒々とした枝から出た芽を見つけました。これからどんどん葉をつけるんだなぁと冬から春への移ろいを感じて嬉しくなりました。
今日のテーマは食べられる芽に決めました。春の味覚「たらの芽」です。

たらの芽は、日本各地の山野に生息しているタラノキにできるふっくらとした形の新芽です。
独特のほのかな苦味があり、山菜の王様とも呼ばれています。
たらの芽の天ぷらは、春の息吹きそのままを味わえる料理です。揚げたての衣から口に広がり鼻に抜けていく香りに思わず目を細めます。ややしっとりした食感に、苦味が主張してきます。
わたしは大人になるまで、たらの芽を食べたことがありませんでしたが、初めて天ぷらを食べた時は感動しました。

「春の皿には苦味を盛れ」という言葉があります。
これは、「冬の間に体の中に溜まった老廃物を出して、新陳代謝をよくする苦味のあるものを食べましょう」という意味合いが込められているそうです。 眠っていた体を苦味で目覚ませる。 昔からの言い伝えになるほどだなぁと感心します。
天然のたらの芽がよく採れる時期は、春爛漫になってからです。読者の方々の中には、近所の山で採るのを楽しみにされている方もいらっしゃるかもしれません。
たらの芽の一般的な栽培方法は、ハウス栽培が主流です。お正月を過ぎた頃から春先にかけて最盛期を迎えます。
ハウス栽培では、春から秋にかけて畑で育てたタラノキの穂木を、晩秋に切って約10cmの駒木(こまぎ)を作ります。ハウス内で加温した温床で育てることにより、1ヶ月ほどで芽が出てきます。

主な産地は山形県や新潟県の豪雪地帯です。
雪が積もると畑では野菜や果物は作れないため、冬の間も収入源になる農作物として、たらの芽の栽培は始まったといわれています。 ハウス栽培は、4ヶ月ほど長期間収穫できて量も品質も安定しています。 天然物よりは香りや苦味が少なめですが、多くの人達に食べやすい味として人気が高まってきました。

料理人にとってもたらの芽は、手に入れやすく使いやすい食材です。今では、和食以外にもフランス料理、イタリア料理で、ひと足早く春を感じたり、迎えた春を満喫したりと楽しむ機会が増えてきました。
こうして春の味覚は、山菜の王者たらの芽から始まり、ふきのとう、こごみ、うるい、行者にんにくなどもハウス栽培で作られるようになりました。

天ぷらに、柑橘系のソースを添えて爽やかに。今年も春の味覚を存分に楽しみたいと思います。


川口屋薫
料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁
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