コオイムシ

旬のもの 2023.05.17

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こんにちは、昆虫写真家の村松です。
昆虫の写真を撮ったり、Webでいろんな昆虫を紹介するムシミルの運営をしたりしています。ムシミルで検索してみてください。

今回はコオイムシという、水中で生活している昆虫を紹介します。

コオイムシの成虫

コオイムシは基本的に水中で生活する水生昆虫です。
酸素は空気中から取り込むので、おしりの先をいつも水面に出しています。

タイコウチやミズカマキリなどのように、長い呼吸管を持たないので比較的浅いところに住んでいます。ずっと水中にいると溺れてしまうんですね。

その雰囲気はタガメを小さくしたような印象ですが、おとなになっても2cm程度なのでタガメの迫力には及びません。

しかし、コオイムシは面白い習性を持っていて魅力的な昆虫です。
コオイムシとは「子負虫」と書き、子どもを背負っているという意味です。

実際に背負っているのは卵なんですが、その様子が他の昆虫ではなかなか見られない生態なのです。

背中に卵を乗せるコオイムシ

そして、卵を背中に背負っているのはオスです。
メスがオスの背中に卵をキレイに並べて産んでいくんですね。

卵が孵化(ふか)するまで、お父さんが守ってくれているわけです。
お父さんと書きましたが、交尾相手の卵とは限らないのが生き物の世界の深いところですが・・・。

大事に守られた卵からは小さな赤ちゃんが出てきます。

孵化(ふか)の瞬間

たくさんの卵の中から一匹の赤ちゃんが顔を出しました。
卵はカプセルのようになっていて、パカッと割れたところから一生懸命に出てきます。

他の卵もよく見れば目のようなものが見えています。
みんなもうすぐ出てくるところなんですね。

生まれたての幼虫

卵から抜け出した幼虫は、水の中に入るとすぐに泳ぎだします。
この時の幼虫は透けていてとても綺麗です。

時間が経つと大人と同じような茶色っぽい色に変わっていきます。

コオイムシはタガメと同じような肉食です。
前脚はカマのように発達していて、水中に住む他の生き物を捕まえて食べています。

茶色くなった幼虫

たくさん食べて、脱皮を繰り返しながら成長していきます。
脱皮するたびに倍の大きさくらいに大きくなっていくのでびっくりしたものです。

自然の中ではあちこちの田んぼやため池などでも見ることができた昆虫ですが、今ではタガメなどと同じように見られる場所が減ってきています。
住んでいる場所を見つけたら、そんな場所のことも大事に守っていきたいものですね。

写真:村松佳優

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村松佳優

昆虫写真家
滋賀出身、大阪在住。新しい命が芽吹き、生き物が活動を始める春が好きです。昆虫の散策や観察が好きで、見て、驚き、感動したことをWebメディア「昆虫写真図鑑ムシミル」に載せています。多くの人にその面白さや美しさが届けば嬉しいです。

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