本格的に梅雨がやってくる頃。ジメジメと不快指数もあがっていきます。
こんなときにおすすめなのが、今日のテーマ「しそジュース」です。
透き通った鮮やかな赤色。
口に含むと少しだけ酸っぱくて、あとから爽やかな甘みがじんわり広がっていく。
身体の内側からジメジメ気分を吹き飛ばしてくれるような飲み物です。
しそジュースに使われる植物は「赤しそ」です。
赤しそは梅干しや紅生姜の色付けに欠かせないもので、大葉とともにしその一種。葉っぱの色が赤紫色をしているタイプのことを言います。ただ大葉に比べてえぐみが強いため生のまま食べることはありません。
赤しそは、漢方でも主に使われていて「蘇葉(そよう)」と呼ばれます。
しそは漢字で「紫蘇」と書きますが、昔中国で食中毒になった若者に医師が赤しそを煎じて飲ませたところ見事に蘇ったという言い伝えがあります。そこから「蘇る紫の葉」ということで、「紫蘇(しそ)」と名付けられたそうです。
ところでみなさんは「しそジュース」を飲んだことありますでしょうか?
意外と飲んだことないって人は多いのではないでしょうか。
かくいう私も、しそジュースの味を知ったのはつい最近のことです。
数年前、都会に住んでいた頃は赤しその存在自体知りませんでした。
カフェのメニューに入っているわけでもないし、スーパーでも見かけたことがなかった。(今思えばあったのかもしれませんが、認識していませんでした)
しかし奈良県に移住してから毎年この時期になると「赤しそ」を大量にもらうようになりました。初めはこの赤しそをどう調理したらいいかわからなくて困っていたら、みんな口を揃えて「しそジュースをつくりなさい」と言う。初めはそれがどういうものかもわからずにネットで調べる。そうしたら、赤しその葉っぱを煮出してエキスを抽出して、お酢と砂糖を加えるだけ。なんて簡単なのだろうと思いつくってみたら、思いがけない「いいこと」がたくさん起こり、そこからハマってしまいました。
まず大前提として、「つくる過程」がとても楽しいのです。
赤しそを大きな鍋に入れて、5分ほど煮て取り出したらお砂糖を入れます。溶けたらリンゴ酢またはクエン酸を入れるのですが、入れた瞬間に暗い色の液体が一瞬で鮮やかな赤色に変わる。これは、おもに植物に含まれる「アントシアニン」という色素が「酸」によって酸性に変わり、鮮やかに発色するようなのですが、まるで魔法使いになった気分です。
そして、実際にできあがったしそジュースを飲んでみると一気に爽快な気持ちが身体中に行き渡ります。自分でつくった満足感も重なって、冷蔵庫をあけるたびにしそジュースが待っていると思うと、帰宅する足取りも軽くなるようです。
さらに、残った赤しそも捨てずに活用します。塩で揉み込んで、乾燥させて「ゆかり」へ進化。細かく刻んで、サラダに入れたりおにぎりに混ぜ込んだり..。しその豊かな香りが鼻に抜けて、いつの間にかジメジメ気分が上書きされているのです。
最後の最後までたのしみが広がる「しそジュース」。
今年も自然の恵みをあますことなくいただきたいと思います。
高根恭子
うつわ屋 店主・ライター
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。
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