イライラにはグレープフルーツジュースを

旬のもの 2023.06.17

この記事を
シェアする
  • twitter
  • facebook
  • B!
  • LINE

グレープフルーツの僕の勝手なイメージなんですが、なんとなくフロリダ。でも実は西インド諸島バルバドス原産なんですって。しかも元々は、文旦とオレンジが自然に混ざってできたんだそうです。ちなみに文旦は本来ざぼんというのが正しい名前だそうですね。ちなみに最近「ポメロ」というグレープフルーツによく似た形の柑橘がスーパーでも見られますが、あれは文旦です。

話がそれましたが、「グレープフルーツ」なんて洋風な名前なので、てっきり欧米から来たのかとおもっていたら思いっきりアジアのフルーツでした。香りが素晴らしいので、いろんなものの香料としても使われていますね。

アジア出身のかんきつ類グレープフルーツには、ビタミンCの含有量が高く、1個で1日に必要な量が概ね賄えます。ビタミンCは、肝臓の働きを助け、活性酸素を除去して、疲労を回復し、血管を守って出血を防ぎ、お肌にハリを与え、コレステロール値も安定させてくれると考えられています。なんとなく体に良さそうなビタミンCはほんとに体にいいんです。グレープフルーツを食べて、天然のビタミンCを日々摂りましょう。

グレープフルーツにはナリンギンというポリフェノールの一種も含まれており、独特の苦味を作り出しています。ナリンギンには抗酸化作用があり、老化予防や生活習慣病の予防にも効果があるようです。赤いグレープフルーツには、同じく抗酸化作用をもったリコピンも含まれていますので、血流改善効果なども期待できます。

グレープフルーツの薬膳的な働き

果肉は食べ物を受け取る胃の働きを整えて、食欲不振や胃もたれを改善し、皮は、消化を促す働きを持っています。また、性味は甘酸苦で寒性です。潤いを生み出す酸味と甘味の組み合わせに加えて(この作用を酸甘化陰(さんかんかいん)と言います)、苦味を持っています。

苦味には、興奮を鎮める“鎮静”、便通を促す“通便”などの働きがあります。寒性はこもった熱を冷まし、興奮を鎮める働きを指しています。グレープフルーツは、潤いを補うことで、こもった熱を冷ましたり、鎮静したりする力を補えるので、興奮気味でイライラしたときや、熱っぽくてカッカする時、ストレスで食欲が落ちている時などはぜひともとりたい果物です。反対に冷え性の方や高齢のかたは、食べ過ぎると胃腸が冷えてしまうので、ご注意くださいね。

あと日本に入って来ている輸入グレープフルーツの殆どに防カビ剤が使われているので、皮を使う時はそうではないものを選んでくださいね。その他、酒の分解を促進し二日酔い症状を軽減する“解酒(げしゅ)”の働きや、痰を取り除く“化痰(かたん)”の働きもあります。お酒を飲んで、脂っこいものなどを食べたときにもオススメです。

グレープフルーツの香りには、“気を巡らせる力”があるとされます。気を巡らせると、頭がスッキリし、特定の考えでいっぱいになった状態から視点をそらせやすくなるので、この点からもイライラ対策にグレープフルーツはオススメです。

ただし、皮をむいて食べるのにちょっと苦労しますよね。そんな時はグレープフルーツジュースも活用しましょう。グレープフルーツはストレートジュースになっているものも手に入りやすいので、ストックしておき、イライラするような時はさっと飲むのがいいですよ。

グレープフルーツ味のジュースではなく、ストレートのグレープフルーツジュースを選ぶようにしてくださいね。濃縮還元のジュースも悪くはないですが、ちょっと働きが変わりそうなので、できればストレートジュースをストックしておきましょう。

グレープフルーツの瑞々しい果汁は、体の渇きだけでなく、心の渇きも癒してくれます。体を潤し、消化を助け、ストレスの停滞を改善してくれるグレープフルーツ。イライラ気味、熱がこもりがち、ストレスで胃腸の調子が悪いという方は、とりあえずグレープフルーツジュースを少し飲んで深呼吸してみてくださいね。

この記事をシェアする
  • twitter
  • facebook
  • B!
  • LINE

櫻井大典

国際中医専門員・漢方専門家
北海道出身。好きな季節は、雪がふる冬。真っ白な世界、匂いも音も感じない世界が好きです。冬は雪があったほうが好きです。SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず人気に。著書『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』 (ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)など。

櫻井大典|ゆるかんぽう

関連する記事

カテゴリ