郷土料理のすすめ

旬のもの 2024.03.11

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郷土料理と薬膳、実はこれらはとっても近い存在です。

郷土料理は、各地の産物を利用し、その土地の風土に合う食べ物として受け継がれてきたものです。対して薬膳は、個々の体調やその時の気候風土に合わせて食を持って病を遠ざける治療法です。どちらも同じく、日々の食で体を整える働きを持っています。

今日はそんな郷土料理と薬膳のお話です。

薬膳とは

一般的に薬膳は「漢方の生薬が入った、健康だけど、あんまり美味しくない料理」とか、「健康そうだけど、味や匂いが気になりそう」みたいな感想をお持ちの方が多いのではないでしょうか。

これは実は間違ったイメージで、実際は「漢方薬にも使われている生薬も入った、薬の代わりに使われる美味しい料理」が薬膳なんです。美味しい美味しくないは主観なので微妙な判断ですが、基本的に誰が食べても美味しくないものは薬膳とは言えないかもしれません。薬膳では、自然界に存在する全てのものを「食物」として考えており、そしてそのそれぞれに違った効能を持っていると考えています。薬膳には『薬食同源』という考えが基本にあります。これは「すべての食べ物に薬効がある」ということと、「誤った食べ方は病を生み出し、正しい食べ方で病はみずから癒える」というものです。

薬膳という言葉自体は実はそれほど古いものではありません。1980年頃、北京の同仁堂というレストランが始めたと言われています。ただし、薬膳の“食によって病を遠ざける”という考え方は、紀元前10世紀ごろから続いています。

当時、「食医」という皇帝の食事を管理していた医師がいました。食医は、皇帝の体の状態、気候、季節、他の飲食物の影響などを考慮して、食物によって病気の治療や予防をしていました。その考えと手法による対策が今日にも続いているのが薬膳です。

薬膳の理論やその食材選びなどは、確かにたくさんの知識を要するのですが、薬膳の知恵は私たちの生活に息づいています。例えば、食べ過ぎたら大根をたべるとか、カゼの寒気に生姜を使うなどなどです。なので、薬膳とは「食を持ってからだを元気にする」ものといえます。

郷土料理

皆様の地域の郷土料理はなんでしょうか。農林水産省のHPにある、「うちの郷土料理」というページに、全国各地の郷土料理が載っています。僕の地元北海道ももちろん載っています。

農林水産省のHPによると、郷土料理は、“各地域の産物を上手に活用して、風土にあった食べ物として作られ、食べられてきて、歴史や文化、あるいは食生活とともに受けつがれているもの”を指すようです。ではなぜこれが今日まで残っているのかを、薬膳の観点から考えるととても興味深い内容が見えてきます。

私の故郷、北海道には、鮭のちゃんちゃん焼き、石狩鍋、三平汁など鮭をつかった郷土料理がいくつかあります。鮭は薬膳では、胃腸を元気にして血をめぐらせる作用と、冷えて痛む関節痛などを改善する力があるとされています。また、産卵のために川に戻ってくる秋鮭は疲労を回復し、お腹を温める作用があるとされます。寒くて冷える北の大地にはぴったりですよね。

このように、その土地で取れるものの多くは、そして旬の食材の多くは、その土地、その季節を健康に生き抜くための自然からの贈り物と考えることができます。そしてその働きを、身を以て感じ、後世に残してきたのが郷土料理なんです。

薬膳は健康を維持するための食事であり、薬です。そして、郷土料理とは、そういった薬膳の知識からも指示される、その土地で健康に生き抜くための知恵の結晶です。この財産を忘れることなく、生活の中に取り入れてまた次の世代に引き継いでいきたいものです。

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櫻井大典

国際中医専門員・漢方専門家
北海道出身。好きな季節は、雪がふる冬。真っ白な世界、匂いも音も感じない世界が好きです。冬は雪があったほうが好きです。SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず人気に。著書『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』 (ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)など。

櫻井大典|ゆるかんぽう

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