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第6回「結果発表」

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「俳句、はじめました」とは?

このページでは、できるだけ今の言葉でわかりやすく、俳句の面白さや楽しみ方をご紹介していきます。日本ならではの俳句の世界に、ちょっとだけ触れてみませんか?

今回は、去年募集した俳句の結果発表です。お題は「秋と冬の俳句」でした。
募集期間中に「#暦生活俳句部」のハッシュタグをつけてTwitterやInstagramで詠んでいただいた俳句の中から、宇多喜代子先生に十句選んで講評をいただきました。

宇多喜代子 うだ きよこ

昭和10年、山口県生まれ。「獅林」を経て「草苑」にて桂信子に師事。現在は「草樹」会員代表。現代俳句協会特別顧問。これまでに蛇笏賞、詩歌文学館賞、現代俳句大賞、日本芸術院賞等受賞。令和元年、文化功労者に選ばれる。句集に『りらの木』『夏月集』『象』『記憶』等。著書多数。

総評

特に規定のない投句ですので、自由自在の句がおおく見られました。自由にお作り下さいと申しますと、しばしば何でもありとなさる例がありますが、そのようなこともなく、おおくのご投句の中には下記のような好句があり、十句を入選といたしました。五七五定型と季語の採用など、よく出来ています。
それぞれに寸評を付してみます。なお、十句は順位ではありません。

十句選

姿は見えないのだけど、受話器の向こうの親子の様子がいきいきと見えてきます。季語の「春隣」がその場のほほえましさをよく助けています。季語の選択が見事です。

歳末ともなると暦の残りも少なくなります。そこのところを「薄灯り」が「透ける」ととらえた感覚の優れた句です。最後の「かな」にも感慨が感じられます。

いかにも日暮が早い晩秋の季節感がよく出ています。家路を急ぐ足音なのか、靴音だけがコツコツと響き、気忙しさを感じさせます。この句の「冬隣」もよく効いています。

いつも愛用しているマフラーとは違う色のマフラーにしたという、日常の些細な冒険がいい句になりました。コートやジャケットではなく、マフラーという小物が生きています。

わが掌を見ながら、感慨にふけっている姿が見える句です。それも「感情線」の「陰」。もの思わせるところです。秋の終りでありながら、過剰な感傷がなく、きっぱりとしています。

迷子の「誰か」が途方にくれている。さて誰なのか。もしかしたら自分か。蜻蛉の舞う夕空を見上げたときの、ちょっとした自愛の気分のように感じました。いい句です。

美しい古刹の景色です。目に鮮やかなのは「敷き紅葉」です。それも枯山水ならではの美しさです。「古寺の」とすれば単なる風景報告となるところ、「古寺や」でよかったです。

特にいいことや悪いことがあったわけでもない。そんな日の空っ風。俳句ならではの「空っ風」の捉え方です。このままでもいいのですが、「無い一日の」にしてもいいでしょう。

糖衣錠でしょうか。甘い薬を舌の上にのせている。ほろ苦い味覚が春の星座「オリオン座」によく釣り合っています。中七の「薬の」がいいです。「薬が」ではだめでした。

干し柿を乾かすのは日射しではなく、乾いた風。「白い空」の白は実の白ではなく、乾いた風を送り出す乾いた空のたとえ。いい吊し柿をつくる風です。

結果発表は以上です。いかがだったでしょうか?

今回の募集は「秋と冬の俳句」というお題でしたが、ご応募いただいた句の一つひとつが、それぞれ違った視点で秋や冬という季節を捉えていて、あらためて俳句は季節の楽しみを広げてくれる素敵な文化だなと思いました。
まだまだ「俳句って難しそう」と思われる方も多いかもしれませんが、これからもときどき俳句に親しめる企画や商品をご提案していければと思います。

最後に、この度はたくさんのご応募ありがとうございました。今回は選ばれなかった方も、応募できなかったという方も、またの募集の際は、ぜひご参加ください。

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暦生活編集部

日本の季節を楽しむ暮らし「暦生活」。暮らしのなかにある、季節の行事や旬のものを学びながら、毎日お届けしています。日常の季節感を切り取る #暦生活写真部 での投稿も募集中。暦生活の輪を少しずつ広げていきたいと思います。

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