たくさんのご応募ありがとうございました
2024年6月1日からスタートした、「俳句の日めくりカレンダー」の俳句の大募集。
<夏編>の応募総数は、計1203句でした。皆さま、たくさんのご応募ありがとうございました。
結果発表の前に、審査いただいた神野先生の総評をご紹介します。
総評
日々を生きる実感を基盤に、具体的な場面をいきいきと十七音に写し取った俳句がたくさん寄せられました。
中でも、それぞれの節気の季節感を深く鋭く捉えた俳句、現代の暮らしの中に見出した新たな節気の実感のある俳句を中心に選びました。
細やかであるがゆえに難しい二十四節気の俳句、よく挑戦してくださいました。秋も楽しみにお待ちしています。
「優秀句」発表
それでは優秀句の<特選><入選><佳作>を、それぞれ発表いたします。
「立夏」
風受けて湖畔を歩む立夏かな 角野緑草(千葉県)
わが名「風」立夏の朝に生まれけり たいらんど風人(福岡県)
スケボーの跳ねて立夏のアスファルト 長谷川水素(神奈川県)
たぶららさ立夏の風のうすみどり 村瀬ふみや(北海道)
寛解や立夏の窓によき風来 おかげでさんぽ(大阪府)
窯焼きのピッツァ立夏のカプチーノ 弥栄弐庫(千葉県)
ふるさとへ立夏の橋を渡りけり 藍創千悠子(兵庫県)
図書館の立夏アリスを追いかけて 阿久津 学(栃木県)
旧軽のバルに立夏のスプマンテ 佐藤ひろみ(東京都)
大漁を祈り立夏へ打つ太鼓 海のあを(愛知県)
「小満」
鉢の芽へ小満の雨やはらかに 佐藤ひろみ(東京都)
小満やミックスナッツ掌に集う 三縞 勇輝(東京都)
小満や ぺトリコールの 歩道橋 一靑華巳(京都府)
小満の表尾根行くワンゲル部 新濃 健(東京都)
小満や雑草蹴つて登校す 夏風かをる(熊本県)
小満や弁当箱はアルマイト 杏乃みずな(長野県)
小満や関節ゆるき子の手足 田中 由紀子(東京都)
小満の赤子のようなナン食へり 二宮 智子(京都府)
ベロ藍の富士小満を立ち上がる 七瀬ゆきこ(三重県)
小満や顔は輪郭から描かれ 髙田祥聖(神奈川県)
「芒種」
石垣の苔やはらかき芒種かな 陽光樹(大阪府)
在宅や髭のざらつく芒種の夜 阪上 智子(兵庫県)
鳥の声長し芒種のハンモック 植 朋子(埼玉県)
マンモグラフィ痛し芒種の雨しとど 星月彩也華(愛媛県)
祖父の眼が芒種の空に星を蒔く 夏風かをる(熊本県)
正論の果てて芒種の始まりぬ 七瀬ゆきこ(三重県)
太陽の塔や芒種の陽に目覚め 藍創千悠子(兵庫県)
臨月の腹は芒種の風を受く 中村すじこ(北海道)
子はすぐに慣れて芒種の踏み車 おかげでさんぽ(大阪府)
井戸水に浸す芒種のたなごころ 竹田むべ(兵庫県)
「夏至」
太陽にも汝にもそばかす夏至の海 藤 雪陽(長野県)
厳格な父の短き夏至の影 横山雑煮(茨城県)
積み上がる果肉のゆらぎ夏至のパフェ 世良日守(福岡県)
淋しさやジャングルジムの夏至の影 みづちみわ(愛知県)
夏至の夜のローストビーフ厚く切る 星月彩也華(愛媛県)
ミラーボール夏至の瞼の重さかな 夏風かをる(熊本県)
トランペット海に聞かせる夏至ゆふべ 藤田銀子(神奈川県)
フラミンゴ夏至の光に膨らめり 藤田ゆきまち(三重県)
逆立ちでフリーズ夏至のブレイキン 明 惟久里(東京都)
海蝕洞夏至の余熱として鳥は 長谷川水素(神奈川県)
「小暑」
耳朶の痒し小暑の路線バス 藤 雪陽(長野県)
塩の出る穴ひとつだけ空く小暑 三縞 勇輝(東京都)
注射待つ小暑の犬のがるるるる 瀬川琴女(三重県)
小暑なりみそらあめんに降る七味 弥栄弐庫(千葉県)
年頃のふたり小暑の缶ジュース 藤田ゆきまち(三重県)
つぼみ反り香りただよふ小暑なり ぴょん吉 龍(京都府)
堂々と小暑の庭に知らぬ猫 海老原 順子(茨城県)
靴持って抱いて小暑の帰り道 後藤麻衣子(岐阜県)
カツ丼をはふはふ食べる小暑かな 酒井 春棋(新潟県)
小暑かな買い物メモのしめりたる 大屋 裕(愛知県)
「大暑」
黒黒と満満と多摩川は大暑 松本こういち(東京都)
鉄門扉聳ゆ大暑のラスボスめく 北欧小町(東京都)
若冲の鶏と眼が合ふ大暑かな 安井 健一(兵庫県)
むぐむぐと焼きうどん食む大暑かな 春菜(埼玉県)
大暑なりキリンのまつ毛重たそう 二胡留(埼玉県)
硬球に赤き縫目の大暑かな 山田 知明(神奈川県)
風も葉もてらてら光る大暑なり 島田 土佐子(千葉県)
リカちゃんのうつ伏せになる大暑かな 檜野 美果子(宮城県)
みづうみの波たしかなる大暑かな 佐々木 慈子(京都府)
熊谷の午後二時にゐる大暑かな 雪井苑生(埼玉県)
「立夏」
立夏なり塾へ駆けたる子らの声 コンフィ(東京都)
水槽のみづ透きとほる立夏かな 藤 雪陽(長野県)
カーブミラー母が手を振る立夏かな 丸山 真由美(神奈川県)
腹帯の真白く揺るる立夏かな 楽和音(鳥取県)
花鋏黙して洗う立夏かな 吉成小骨(兵庫県)
若犬の立夏へ伸びるリードかな 横山雑煮(茨城県)
くろぐろと富士聳え立つ立夏かな 佐野 良彦(神奈川県)
ランニングシューズ爪先浮く立夏 三縞 勇輝(東京都)
襟足をバリカン上りくる立夏 菫久(東京都)
賑やかな鳥の声聞き立夏かな 蝉声(宮城県)
風立ちぬ白波よせてひく立夏 石井 彩音(茨城県)
席題は「立夏」輪島の小句会 HNKAGA(石川県)
立夏かなグラスに映る港の灯 渡辺 紀子(宮城県)
好きなひと友と重なる立夏かな 土橋胡翔(東京都)
鍵閉めて立夏まだ冷たい廊下 東田早宵(静岡県)
立夏来る三角刀の葉洩れ日に 藍野ゆくへ(山梨県)
大手毬こぼるるばかりの立夏くる 林 真理恵(石川県)
息合わせフラッグ大きく振る立夏 染井亀野(奈良県)
「小満」
呼び出され小満に踏むペダルかな 阿部八富利(東京都)
小満の野菜サラダは大盛に 安井 健一(兵庫県)
小満の腐葉土に置くたなごころ 七敷 創(東京都)
小満やぐるぐる回るお腹の子 楽和音(鳥取県)
小満の飲茶の汁の溢れけり 沼野大統領(神奈川県)
小満をひかりの箱としてバスは 磐田小(愛知県)
小満に旅立つ吾子の無精髭 たいらんど風人(福岡県)
高枝鋏小満のみづを吸ふ 世良日守(福岡県)
小満や畝に根を張るこぼれ種 森 薫(福岡県)
小満の野に咲く花や蜜蜂よ 二号(和歌山県)
小満やぱらぱらぱらと顔へ雨 海神 瑠珂(愛知県)
小満や父の書き込み謡ひ本 大屋 邦子(愛知県)
小満の豚のお尻のはちきれさう 沢 唯果(埼玉県)
小満やノット緩めて帰路急ぎ 田村 直美(神奈川県)
小満のずり這ひの子の強き蹴り のんぬもんぬめぐ(千葉県)
小満やふいに鳴り出す鳩時計 福嶋すず菜(埼玉県)
小満の鳥避けテープ風に揺れ 木村 隆夫(埼玉県)
小満や少女のくるぶしのつぶら 藍創千悠子(兵庫県)
「芒種」
一村の芒種の雨に輝けり 下村 修(神奈川県)
カブトエビ芒種の水に帰り来る 下滝 英里(大阪府)
早朝を風や芒種のヨーグルト 藤 雪陽(長野県)
雲間より芒種のひかり播かれけり 吉川 拓真(埼玉県)
早乙女が芒種の風に空見上げ 本橋理音(千葉県)
段畑を芒種のみづの奔りけり 佐藤ひろみ(東京都)
芒種かな落ち穂拾いのごとき鳩 春菊丸(東京都)
ネモフィラと芒種の雨に濡れて居り 一靑華巳(京都府)
芒種なり学費値上げに異を唱ふ 松浦麗久(愛媛県)
霧雨が顔にはり付き芒種なり 大坊 千宥(岩手県)
芒種なり田んぼにあそぶ雲と雲 香田ちり(埼玉県)
芒種なり時刻の狂ふ炊飯器 福嶋すず菜(埼玉県)
恙なく水ゆきわたる芒種かな 夏埜さゆり女(北海道)
せせらぎに手と顔洗ふ芒種かな 木村 隆夫(埼玉県)
写真部や芒種の川辺這ひまわる 木ぼこやしき(岡山県)
芒種雨制服乾かす被服室 染井亀野(奈良県)
「夏至」
モヒートを飲み干す喉や夏至の夜 七敷 創(東京都)
あかあかと夏至の夕日のしづかなる 渋谷晶(大阪府)
夏至の雨リハビリ励む窓越しに ぼちぼち姫(埼玉県)
時計屋の閉店セール夏至の雨 村瀬ふみや(北海道)
夏至の夜の訃報に脱字ありにけり うっかり(徳島県)
起き抜けにクラムチャウダー啜る夏至 江口小春(大阪府)
シャンパンの泡生まれ来る夏至の宵 佐藤ひろみ(東京都)
夏至の午後アイスレモンティーにしよう 榊原文絵(大阪府)
本の匂いを抱き寝ぬ夏至の夕 春菊丸(東京都)
夏至の日の左官屋の鏝迷いなく 柚木みゆき(和歌山県)
亡き人を友と川辺に思ふ夏至 西野 由美(神奈川県)
ひとり飲む眠れぬ夏至の黒ビール 黒ビール(大阪府)
夏至に生まれたあの子がもうすぐ母 大山長閑(東京都)
夏至の日の夕餉の卓に花一輪 渡辺 葉月(福岡県)
図書館で歳時記を読む夏至の夕 たかはしゆう(埼玉県)
梅ジュース氷砂糖で作る夏至 本田へのか(広島県)
ハイウェイ西へ夏至の没日を追ひ掛けて 齋藤満月(東京都)
「小暑」
読めない字うねる小暑の診断書 イサク(愛知県)
大皿に一片残るピザ小暑 横山雑煮(茨城県)
小暑にて抜き衿は逆三角形 正念亭若知古(山口県)
秒針の音に目の覚む小暑かな 森 薫(福岡県)
新人は小暑も過ぎてそれらしく 松本 俊彦(京都府)
デッキ出で小暑のフェリーコカ・コーラ 五葉 松子(群馬県)
将来の夢弁護士と書く小暑 HNKAGA(石川県)
極楽の花の下にて小暑来ぬ 黒月(神奈川県)
小暑です、お元気ですかと文字笑う 朝日みう(京都府)
エレベータの鏡の中の小暑かな 藍創千悠子(兵庫県)
小暑過ぎ九九表を貼る更衣室 檜野 美果子(宮城県)
陽にすこしためらひ残る小暑なる 齋藤満月(東京都)
「大暑」
ゲバ文字の号外配る大暑かな 伊藤映雪(埼玉県)
実家より茄子漬け届く大暑かな 丸山 真由美(神奈川県)
沢蟹の真つ直ぐ歩く大暑かな 佐野 良彦(神奈川県)
囃しつつ七味売りたり大暑の日 阪上 智子(兵庫県)
ステーキのソースを飛ばす朝大暑 山口 明子(東京都)
突き抜けて大暑の空の青さかな 寺尾当卯(愛知県)
直球にまた三振の大暑なり 竹澤 聡(神奈川県)
江の島の大暑のしらす食らひけり 歩人(東京都)
大暑なり長引く妻の産後鬱 白猫のあくび(東京都)
扇いでも扇いでもぬるい風大暑 朝倉 晃裕(大阪府)
妹の不敵な寝言大暑かな 辻 花和音(埼玉県)
洗濯機三回まわし大暑なる 渡戸 道子(東京都)
大暑来る一族のみな酒豪なり 渡辺 紀子(宮城県)
バーベキューの匂い大暑の両隣 渡辺 葉月(福岡県)
大暑なり土掘るイヌの黒き鼻 のんぬもんぬめぐ(千葉県)
外郎にナイフの沈んでゆく大暑 木村 隆夫(埼玉県)
※「俳句の日めくりカレンダー(2026年版 )」に掲載する句の選出は、2025年4月頃を予定しています。 掲載させていただく方にはメールにてご連絡さしあげますので、それまでは投稿作を他の場所で発表されないようにご注意ください。 掲載された方には、実際に掲載された「俳句の日めくりカレンダー」を1冊進呈させていただきます。
秋の二十四節気の俳句も募集中
夏の優秀句の発表は以上です。いかがだったでしょうか?
ご応募いただいた作品は力作揃いで、スタッフも皆様の感性の豊かさに驚かされました。
今回は残念ながら選ばれなかった方も、引き続き「秋」「冬」「春」と募集していきますので、あらためて挑戦してみてください。
最後になりますが、この度はたくさんのご応募、本当にありがとうございました。