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二十四節気の俳句募集|秋編 優秀句 大発表 

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たくさんのご応募ありがとうございました。

2024年6月1日からスタートした、「俳句の日めくりカレンダー」の俳句の大募集。
<秋編>の応募総数は、計1675句でした。皆さま、たくさんのご応募ありがとうございました。

結果発表の前に、審査いただいた神野先生の総評をご紹介します。


総評

秋の寂しさに寄り添い、底のほうからじんわりと力が湧いてくるような、やさしい心の芯が感じられる俳句が多く寄せられました。
繊細な感覚が言葉によってやわらかく反映されている句に、秋を深く感じました。

「優秀句」発表

それでは優秀句の<特選><入選><佳作>を、それぞれ発表いたします。


「立秋」

立秋の呼べば跳ね来る仔犬かな  三月兎(東京都)
銭湯の天井高く秋に入る  山田 知明(神奈川県)
立秋の帰路の列車に潮の香  山田翔子(千葉県)
立秋の寄席にて迎え太鼓かな  森田 千恵子(神奈川県)
立秋の点字ひんやりして世界  夏風かをる(熊本県)
立秋の肩に余りし髪を編む  大屋 邦子(愛知県)
林檎酒の泡の黄金に秋立てり  黒月(神奈川県)
立秋の雲のさざめきイルカショー  空木花風(千葉県)

「処暑」

ドアベルのからんと処暑の珈琲店  伊藤映雪(埼玉県)
処署ひとり窓辺の椅子に本を置く  いたまき芯(静岡県)
ほいほいと背中へ処暑の聴診器  おかげでさんぽ(大阪府)
四つ折りのティッシュに処暑のおかき置く  ギル(神奈川県)
乳静脈りゆうりゆう浮きて処暑の牛  辻 花和音(埼玉県)
喪の明けてこんぺいたうに処暑のつの  押見げばげば(大阪府)
明け方のリムジン眠し処暑東京  渡戸 道子(東京都)
宿題の計算ドリル処暑のグミ  藤田ゆきまち(三重県)
寝に帰るだけの1K処暑の星  丁鼻トゥエルブ(長野県)
回転扉ふたご飛び出す処暑の朝  福嶋すず菜(埼玉県)

「白露」

未明なり挽いて白露に蒸らす豆  阿部八富利(東京都)
雲梯をふたつ飛ばしにゆく白露  イサク(愛知県)
もらい泣きはやさしき雨と知る白露  酒井春棋(新潟県)
単衣帯きちり白露の歌舞伎座へ  沢 唯果(埼玉県)
譜面台二つ白露のアトリエに  澄珈(東京都)
子牛抱き体重計へ乗る白露  中矢 尚(愛媛県)
即興のジャズに白露の十指かな  猪俣 ま悠(東京都)
星の息とどく白露の未明なら  北藤詩旦(北海道)
ババロアを弾む白露の銀の匙  木ぼこやしき(岡山県)
丹波竜眠る白露の原野かな  藍創千悠子(兵庫県)

「秋分」

秋分や眼鏡を外し読む手紙  佐藤志祐(東京都)
秋分の影二等辺三角形  みづちみわ(愛知県)
秋分の日大工の父は口に釘  山口 明子(東京都)
平衡のシーソー秋分の躁鬱  でんでん琴女(三重県)
秋分の木枠の窓を拭くふたり  風早杏(長崎県)
秋分や麒麟の胴に降るひかり  石村まい(兵庫県)
秋分や母のレシピのずんだ餅  岩城土佐子(千葉県)
国道を渡り秋分の夜に入る  のんぬもんぬめぐ(千葉県)
秋分の書架に抜きたる一書かな  菅野奈都子(福岡県)
秋分の泥巻き上げて金の鯉    花瀬 玲(神奈川県)

「寒露」

鳩の死の肉見えてゐる寒露かな  伊藤映雪(埼玉県)
ママレード届く寒露の午後ひとり  幸田梓弓(石川県)
テトリスの速し寒露の停留所  藤 雪陽(長野県)
母の手に水の香はつかなる寒露  佐々木 慈子(京都府)
留守電が闇に点滅する寒露  樫の木(大分県)
早起きや寒露ののどに白湯ふくむ  赤尾双葉(岐阜県)
寒露なり野菜スープに足すベーコン  岸来夢(東京都)
ベーコンの脂の縮む寒露なり  石村まい(兵庫県)
聞香の火窓まろやか寒露の夜  七瀬ゆきこ(三重県)
大腰筋は座ると縮む寒露かな  うさの(愛媛県)

「霜降」

霜降や種火小さしピザの窯  久信田 史夫(茨城県)
霜降の鉄階段の硬さかな  村瀬ふみや(北海道)
霜降のタワークレーン富士遥か  三浦海栗(東京都)
霜降や小鍋のミルクしゅんと鳴く  蓮井理久(大阪府)
霜降や氷河時代の君の影  里山子(長野県)
順に胸晒し霜降の検診車  樫の木(大分県)
霜降や三角くじを引く本屋  星月彩也華(愛媛県)
霜降の風に吹かるるレジ袋  神谷 小百合(埼玉県)
霜降やパート仲間の膝若し  中嶋奈緒子(神奈川県)
霜降の犬の肛門きゅうと閉じ  のんぬもんぬめぐ(千葉県)

「立秋」

立秋の女神の蒼きリバティ島  舞矢愛(長野県)
立秋と想へどけふの日射かな  破れ蓮(東京都)
境内のサリーの深紅けさの秋  七敷創(東京都)
忘れてた約束の数秋立てり  岡崎志昴(東京都)
立秋の風にうるほふ化石の葉  藤 雪陽(長野県)
立秋やもう朝刊が来てる闇  海老原 順子(茨城県)
立秋のネクタイ首を待つかたち  岩橋 宣輔(神奈川県)
立秋の 風は湖上を 吹き抜ける  本橋理音(千葉県)
秋立つやカレーも旨いラーメン屋  GONZA(島根県)
立秋のカフェ・オレどうぞごゆつくり  宮下ぼしゅん(福島県)
地球儀の青はさざなみ秋来たる  植 朋子(埼玉県)
サクサクとパイ切り分けて今朝の秋  森 毬子(東京都)
立秋や研究室の招き猫  弥栄弐庫(千葉県)
立秋の子猫きざはしととんとん  村山 恭子(岐阜県)
立秋の靴ひも青に替へにけり  中村想吉(東京都)
立秋や盆栽に水たつぷりと  香田ちり(埼玉県)
「哲学用語の基礎知識」古書店の棚の立秋  庭野環石(北海道)
制服の白線秋の立ちにけり  菅野奈都子(福岡県)
奈良漬の淡きひかりや今朝の秋   花瀬 玲(神奈川県)
層捲るバウムクーヘン秋立てり  檜野 美果子(宮城県)
立秋や防具干さるる部室前  染井亀野(奈良県)

「処暑」

刷毛で描くやうに広ごる処暑の雲   安田蝸牛(千葉県)
お城まで歩いてみよう処暑の風  古賀 由美子(佐賀県)
人類は平等だった処暑の爪  三縞 勇輝(東京都)
シティ・ポップ寝付けぬ処暑の処方箋  月下檸檬(京都府)
夜の底をがうがう処暑の室外機  桜鯛みわ(東京都)
ふいに子の黙つて処暑の風来る  森萌有(東京都)
処暑のダム樹々も湖面も動かざる  西野由美(神奈川県)
太陽をドライフラワーにする処暑の憂さ  千葉 信子(千葉県)
バイト代何を買おうか処暑の道  五葉 松子(群馬県)
処暑の声番台に銭受け取りぬ  相場 恵理子(東京都)
復興の懸垂幕や処暑の風  HNKAGA(石川県)
夕暮れに揺れる草花処暑の風  秀爺(大阪府)
雲梯の取り残されて処暑の雨  渡辺 葉月(福岡県)
潮騒はいま風として処暑の町  音羽凜(東京都)
メレンゲに泡立つ処暑の銀ボウル  白石美月(福岡県)
風いよよ山から海へ処暑に入る  近江菫花(滋賀県)
しうしうと犀の子の吸ふ処暑の乳  明 惟久里(東京都)
茜空ソーダで割らむ処暑の海  藍野ゆくへ(山梨県)
あやふやに答える処暑の保健室  うさの(愛媛県)
コスタリカ鳥の名にありさうな処暑  髙田祥聖(神奈川県)

「白露」

めんつゆに溶かす白露のわさびかな  伊藤映雪(埼玉県)
写真展ひらく白露の大使館  磐田小(愛知県)
腹を蹴る赤子踏ん張る白露の日  久信田 史夫(茨城県)
角硬き犀は白露の雨を待つ  村瀬ふみや(北海道)
白露の夜大正琴の絃柔し  世良日守(福岡県)
小さき蛾と白露の夜の読書灯  根来 譲二(大阪府)
戦争の語り部を継ぐ白露かな  小田毬藻(埼玉県)
白露の日透明な風渡りゆく  小林澄精(三重県)
望郷や白露のキリン伏し目がち  神谷 小百合(埼玉県)
そば殻の枕に目覚む白露けふ  東京堕天使(千葉県)
新しき雑巾しぼる白露かな  大屋 裕(愛知県)
テニス打つ白露の空のあをあをと  竹澤 聡(神奈川県)
ブラウスに白露のビーズ縫い付けて  朝日みう(京都府)
給料日前や白露の昆布茶漬け  丁鼻トゥエルブ(長野県)
瞑色のタオルを凛と干す白露  東田早宵(静岡県)
小綺麗な駱駝白露の柵齧る  野村齋藤(愛知県)
校門をくぐれぬ子ゐる白露かな  檜野 美果子(宮城県)
腸内をぐんぐん進む管白露  花紋(愛媛県)

「秋分」

秋分のカップの蓋にさすストロー  いたまき芯(静岡県)
秋分の錆や波止場の恋にほふ  岩橋 宣輔(神奈川県)
秋分を発つ夜行バス「はかた号」  横山雑煮(茨城県)
秋分の雌蕊を摘むピンセット  ギル(神奈川県)
秋分や蝶の道ゆく黒揚羽  蝉声(宮城県)
チョーク引く秋分の空まっすぐに  中原 英里(大阪府)
秋分や天に臍向け寝る仔犬  千尋(静岡県)
秋分や夕空高く風はやく  天海楓(埼玉県)
秋分や八等分にピザを切る  榧野 実(兵庫県)

「寒露」

てのひらに包むフルート寒露かな  楽和音(鳥取県)
路上ライブの高音伸びて寒露かな  神木美砂(静岡県)
朝粥の煮立つ音して寒露かな  佐野 良彦(神奈川県)
味噌汁の根菜甘き寒露かな  GONZA(島根県)
マヨポンのランチ寒露の父むすめ  太田怒忘(滋賀県)
風強し寒露のバスの停留所  竹澤 聡(神奈川県)
瑠璃と生り金剛と散る寒露かな  黒月(神奈川県)
消へさうな種火の揺るる寒露かな  田中 やすあき(埼玉県)
ぷうと張る縞栗鼠のほほ寒露かな  明 惟久里(東京都)
鼻唄のカーペンターズ今日寒露  乃咲カヌレ(その他)
簡単に寒露となりしカレンダー  呼幸(京都府)

「霜降」

霜降や気球の影を野に放つ  北欧小町(東京都)
霜降の記念切手を少し舐め  伊藤映雪(埼玉県)
霜降や第二外国語に手話を  貴田 雄介(熊本県)
主張はざらり霜降のバスソルト  津々うらら(茨城県)
霜降や小さき踏切跨ぐ朝  高山佳風(静岡県)
霜降や使ひ減りたるボールペン  佐藤志祐(東京都)
霜降や袱紗の藍を撫でつけて  いずみ令香(埼玉県)
霜降や硬貨で払ふ拝観料  竹田むべ(兵庫県)
霜降やゆつくり翳る森のいろ  杏乃みずな(長野県)
霜降や三和土に残る藁の屑  田中 由紀子(東京都)
霜降や馬の埴輪の眼のうつろ  辻 花和音(埼玉県)
霜降の窓よりぴんと糸電話  押見げばげば(大阪府)
霜降やペンチで引つこ抜くヒューズ  藤田ゆきまち(三重県)
湖北きらきら霜降を帰る雨  七瀬ゆきこ(三重県)
霜降の頭から食ふ鳩サブレ  木村 隆夫(埼玉県)
霜降やペールブルーの琥珀糖  木ぼこやしき(岡山県)
霜降や炭焼小屋の火の激し  齋藤満月(東京都)

※「俳句の日めくりカレンダー(2026年版 )」に掲載する句の選出は、2025年4月頃を予定しています。 掲載させていただく方にはメールにてご連絡さしあげますので、それまでは投稿作を他の場所で発表されないようにご注意ください。 掲載された方には、実際に掲載された「俳句の日めくりカレンダー」を1冊進呈させていただきます。


冬の二十四節気の俳句も募集中

秋の優秀句の発表は以上です。いかがだったでしょうか?

ご応募いただいた作品は力作揃いで、スタッフも皆様の感性の豊かさに驚かされました。
今回は残念ながら選ばれなかった方も、「冬」「春」の募集にあらためて挑戦してみてください。

最後になりますが、この度はたくさんのご応募、本当にありがとうございました。

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暦生活編集部

日本の季節を楽しむ暮らし「暦生活」。暮らしのなかにある、季節の行事や旬のものを学びながら、毎日お届けしています。日常の季節感を切り取る #暦生活写真部 での投稿も募集中。暦生活の輪を少しずつ広げていきたいと思います。

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