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手づくり二十四節気/大暑たいしょ

二十四節気と七十二候 2023.07.23

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白地のうちわに絵付けをする

大暑ですね。さすがに長かった梅雨も明け、と思ったらすでに夏土用で、もう暑さの極致。少しでも涼しく過ごしたいものです。

涼をとるものは数々あれど、最もプリミティブなのはうちわではないでしょうか。中国生まれともいわれているうちわですが、日本でも地方によってさまざまなつくりや形のうちわがあります。

日本三大うちわ、などと勝手に決めておりますが、手に入りやすくて美しいお気に入りのうちわといえば、房州うちわ、京うちわ、それに丸亀うちわの3種です。どれも材料は紙と竹のみ。軽くて丈夫で、手に取ったバランスも絶妙です。

房州うちわは、千葉の房総の産ですね。細い丸竹を割いた骨が繊細。多くは木版の和紙をはったもので、小紋柄の千代紙など愛らしさが魅力です。

京うちわは、竹の柄が本体を挟み込んでつけてあります。竹の骨がいちだんと細く、涼しげな京友禅の柄行きを思わせるものも多くて典雅な雰囲気。涼むために自分を煽ぐだけでなく、部屋に飾って眺めたい美しさです。

いっぽう四国の丸亀うちわは持ち手が平竹で、その先を割いて骨にしています。グリップ抜群。全体がしっかりした印象です。以前丸亀城を訪ねたとき、売店の丸亀うちわを狂ったように大量に買い込み、同行者を驚かせたことがありました。そのくらい、魅力のあるうちわなのです。

柄のない、白地のうちわが文具店などに売っています。それを手に入れて、自分で絵付けをするのはいかがでしょう。切り抜いた紙を貼ったり、じかに絵を描いたり、手拭いや、浴衣のあまり裂を貼り付けるのもいいですね。

白地のうちわといえば、郵便で出せる小さな団扇もあります。暑中見舞いをうちわで送るのも素敵。裏に挨拶文、表に切手を貼って宛名を書けば、定形外の郵便として出すことができます。実際に、ミニうちわの暑中見舞いを受け取ったことがあって、思いがけなくうれしかったことを覚えています。思わず手に取って、自分を煽いだことはいうまでもありません。

この夏はぜひ、オリジナルのうちわでより涼しく。

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平野恵理子

イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。

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