こんにちは。気象予報士の今井明子です。
空から降ってくる氷といえば、雪ですよね。雪ではなく、ときには丸いあられが降ってくることもあります。
これらの氷は、皆白い色をしています。
しかし、ごくまれに透明な氷の粒が降ってくることもあります。これは「凍雨」と呼ばれる珍しい現象です。
凍雨は、限られた気象条件で発生します。
それは、雪雲の下に暖かい層があり、さらに下の地表付近に冷たい空気の層があるときです。
こんな気象条件のときは、雪雲から降った雪が、いったん暖かい空気で融けたあと、地表付近の冷たい空気で再び凍ります。これが凍雨なのです。
ではなぜ、凍雨は透明なのでしょうか。それは、水の丸い粒がそのまま氷になるからです。
雪の結晶は複雑な形をしていますし、結晶同士がくっついて落ちてくることもあります。このような複雑な形のものは、太陽の光が結晶で散乱されて、白く見えます。
また、あられは、雪の結晶が落下するときにまわりに水の粒をつけて回転しながら落下したものです。水の層が何層にも重なっていますし、中心には雪の結晶があるので、やはり太陽の光が散乱されて白く見えます。
しかし、凍雨は大きな雨粒がそのまま凍ってしまうため、多少の気泡が入るものの、雪やあられほど複雑な構造をしていません。だから、太陽の光はあまり散乱されず、透明に見えます。
雪はしんしんと音もなく降りますが、凍雨はパラパラと音を立てて降ります。とても冷え込む日に、もし音とともに氷が降ってきたら、それはきっと凍雨のはずです。

今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
