はじめての土用干し
梅干し作り開始から約1ヶ月が経ち、梅雨が明け始めました。いよいよ土用干しです。
瓶から取り出した梅を久しぶりに見ると、思わず顔がほころびます。
「梅漬け」から「梅干し」になる最後の工程です。土用干しをすると、日光に当たることで、梅が殺菌されて保存性が高まり、果肉がやわらかくなります。
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土用干しの作業は「はじめての梅干し作り」で触れていますが、このページではさらに詳しく紹介したいと思います。
土用干しの流れ
土用干しの日数は、約3日間です。
忙しい方は太陽の光が照りつける晴れた日でしたら2日間でも良いです。
〜土用干し1日目〜
•竹ざるを用意して、梅を並べて干します。
•日中梅を上下に返して、梅全体をまんべんなく乾燥させます。
•夜は梅を並べた竹ざるごと室内に取り込みます。
•赤紫蘇は汁気を絞って広げて干します。
•白梅酢と赤梅酢は冷蔵庫で保存します。
※赤紫蘇について
梅より早く乾燥しますので、大体1日で完成します。カラカラになるまで乾けば大丈夫です。すり鉢ですると自家製のゆかりが出来ます。梅干しと一緒に保存する場合は、消毒した瓶やジップロックに入れて冷蔵庫で保存してください。
〜土用干し2日目〜
•日中梅を上下に返して、梅全体をまんべんなく乾燥させます。
•夜は竹ざるごと室内に取り込みます。
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〜土用干し3日目〜
•日中は、1、2日目と同様に梅を干します。
•3日目の夜だけ室内に取り込まず、梅を夜露にあてます。夜露に当てることによって皮がやわらかくなり、翌朝に取り込んで、梅干しをしっとり仕上げます。
•3日目に、白梅酢と赤梅酢も瓶ごと日光に当てて殺菌します。夜には室内に取り込みます。
〜土用干しを終えて〜
•梅干し
消毒した瓶やタッパーなどの容器に入れて冷蔵庫や冷暗所で保存します。
容器には梅干しだけいれても良いですし、梅干しを白梅酢や赤梅酢に浸しても良いです。
•白梅酢と赤梅酢
余った梅酢は冷蔵庫で約1年間保存できます。
来年の梅干し作りに使うことも出来ますが、調味料として料理に使えます。
土用干し 5つのポイント
1.干す場所
日中は、庭、縁側、ベランダ、窓際など日当たりの良い場所で干します。
夜は、室内で風通しの良い場所で干します。湿気が多い場所は避けてください。
小さめの竹ざるで分けると、場所を選ばず干せるかと思います。金属製のざるは梅の酸で溶けることもあるので避けてください。
2.ムラなく干す
日中に1回以上梅をひっくり返して、全体をムラなく乾燥させます。
梅が竹ざるにくっついていることがあります。その時は、夜か翌朝までそのままにしてください。梅が冷めて竹ざるから取れやすくなります。
3.雨の日対策
土用干しの期間に雨が降ってしまった時は、室内で干して、干す日数を増やします。
もし夕立などで梅が雨で濡れてしまったときは、梅をキッチンペーパーで優しく拭きます。
食品にかけてもよいアルコール除菌スプレーか35度の焼酎を吹きかけた後、梅酢に戻してから再度干してください。
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4.梅干しの保存容器
ガラス製やホーロー製のもの。
金属製は不向きです。蓋も金属製ではないプラスチック製が良いです。
ジップロックやプラスチック製でも良いです。保存容器をしっかり消毒してから梅を入れます。
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5.梅干しの保存方法
梅酢に漬けるとしっとりした食感に、漬けない場合はねっとりとした食感になりますので、両方作ると食べ比べできます。
また、10日、1ヶ月、3ヶ月、半年と時間の経過で味の変化も楽しめます。冷蔵庫または冷暗所で保存します。
まろやかな味になる食べ頃は半年後ですが、自家製の梅干しの出来立てをいただくのは、待ちに待った時間です。しょっぱいかな、やわらかいかなと緊張するけど、そのままの味はまさに格別です。料理に使って楽しんでください。
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「白梅干し」と「赤梅干しの違い」
•白梅干し
白梅干しの工程は、下漬け(塩漬け)→本漬け→天日干し(土用干し)です。
梅と塩だけで作りますので、梅本来の風味をより味わえます。
「関東干し」とも呼ばれています。
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•赤梅干し
赤梅干しの工程は、白梅干しと同じですが、本漬けの時に赤紫蘇を一緒に漬けることにより、赤紫蘇の紅色が梅に色づきます。
また、梅には殺菌力がありますが、赤紫蘇にもあることにより殺菌力が高まりますので長期保存に向いています。
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塩分について
梅の重量に対して大体10%から18%の塩で漬けます。今回は白梅干しに12%、赤梅干しに15%と塩の量を変えて作りました。
1種類の方が簡単そうですが、料理の味を調えることを「塩梅(あんばい)」という言葉があります。塩の量を変えるので、自分の好みに合った塩加減を掴んでいただけると思います。
梅を2つに分けて漬けることで、大きな容器がなくても作れますし、保存する場所もさほど取りません。
自家製の梅を使った料理
大福茶(おおぶくちゃ)
京都に平安時代から伝わる縁起の良いお茶です。京都で疫病が流行っていた時に、六波羅蜜寺(ろくはらみつじ)の空也上人(くうやしょうにん)が梅干しと昆布を入れた茶を病人達に飲ませたところ、疫病が治ったそうです。これにあやかり村上天皇が元旦にこのお茶を飲むようになったのが始まりだと言われています。来年の元旦は、自家製梅干しと結び昆布を入れたお茶で一年の無病息災を願ってください。
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自家製ゆかり
赤紫蘇はさらにカラカラになるまで天日干します。すり鉢ですった後、万能こし器でふるいにかけると自家製ゆかりが出来ます。すり鉢の代わりにフードプロセッサーでも良いです。
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赤梅酢を使った料理
柴漬け
刻んだ茗荷1個、新生姜(茗荷と同量)と大きめに切った胡瓜½本、水茄子1個、粗塩小さじ1をビニール袋か容器に入れます。ビニール袋をぎゅっと揉んでから口を結びます。容器に重石をのせます。
一晩おいて、手で水気を絞ります。
赤梅酢を100ccに漬けて冷蔵庫で保存します。乳酸菌がでてきて酸味が出た頃が食べ頃です。
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色付け
お野菜では大根や蕪など白い野菜を赤く染めるとお料理の彩りになります。
お節料理に、チョロギや花びら形に飾り切りした百合根を染めます。
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白梅酢を使った料理
酢飯
白ごはん 1杯分
合わせ酢
白梅酢 小さじ3
砂糖 小さじ1/2
白ご飯と合わせ酢を混ぜて、うちわで扇いで冷まします。
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梅干しの使い方
ドレッシング、タレ、マヨネーズ、味噌と混ぜても良いです。
梅をたたいてペーストにしたものをわさびと混ぜ合わせます。
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道具のこと
はじめての梅干し作りを終えて
土用干しを終えて、手塩をかけて育てた立派な梅干しを眺めていると少し誇らしくて愛おしく感じます。
はじめての梅干し作りは、失敗も含めて楽しんでいただきたいです。
来年は梅の量を増やしてみようかなぁ、塩加減と干し具合を変えてみようかなぁと、来年も読み返していただければ幸いです。
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最後に道具に触れたいと思います。
家族代々受け継がれたもの、譲っていただいたものを使うと使い古した感じが良く、人の繋がりや物を大事にする温かさを感じます。自分で新調したものは、これから長く付き合う相棒のようで嬉しいものです。
私が使った梅を漬けた容器は、暦生活のコラムで色々な漬物を紹介している田中友規さんがデザインした漬物ポットです。毎日梅の様子を眺めるのを楽しみました。
ゆかり作りでは、祖父の手作りのすりこぎを使い、子供の頃の祖父との想い出に触れました。
来年は竹ざるを探してみたいと思います。
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川口屋薫 かわぐちやかおる
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味は囲碁。
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川口屋薫
料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁