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鰊曇にしんぐもり

季語 2025.04.27

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こんにちは。気象予報士の今井明子です。
今日は鰊曇(にしんぐもり)という春の季語についてお話しします。

鰊曇のニシンは、北海道で獲れる魚です。卵を塩漬けまたは乾燥させたものは数の子として知られていますし、魚の甘露煮をそばの上に乗せたニシン蕎麦も、北海道や京都でよく食べられています。

ニシンは「春告げ魚」という別名もあります。ちょうど春になると産卵のために北海道に接近するからです。このとき、接岸したオスの精子で海が白く染まる「群来(くき)」という現象が起こることもあります。

さて、鰊曇は、北海道の2月末~4月頃のどんよりと曇った空模様のことを指します。なぜかニシンは晴天の日よりもどんよりと曇った日に接岸する習性があるといわれています。今はニシンはなかなか獲れなくなってしまいましたが、かつて大量に獲れた時代は、鰊曇を目安に出漁したそうです。

鰊曇になるような早春は、ちょうど大陸から移動性高気圧や低気圧が西から東へと移動してくる季節です。天気は周期的に晴れから雨へと変化します。そんな低気圧が接近しているときにニシン漁は行われるのです。

ただ、この季節の低気圧は、急速に発達して「爆弾低気圧」と呼ばれるようになるものもあります。特に北海道では爆弾低気圧によって暴風雪が発生し、災害も多発します。低気圧からの強い風による荒波で、ニシン漁も命がけだったはずです。そう考えると、ニシン漁の作業唄である、ソーラン節の力強さにも納得がいきますね。

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今井明子

サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。

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