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新緑

季語 2026.05.01

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5月になりました。暦の上では夏のはじまりです。
若葉がみずみずしく輝く「新緑」の季節を迎えましたね。

新緑は、冬のあいだに葉を落として休んでいた木々が芽吹き、ふたたび新しい葉を広げはじめる頃を言います。

冬に葉を落とすのは、エネルギーを蓄えるため。
葉は光合成をしてエネルギーを生み出す役割がありますが、日光が少なく気温が低い冬のあいだは維持することができません。そのため木々は葉を落とし、エネルギーの消費を抑えながら春を待ちます。そうしてあたたかくなったら一斉に葉をつけ始めるのです。

落葉樹(桜やケヤキ、モミジなど)だけではなく、一年中緑の葉をつける常緑樹(クスノキやキンモクセイなど)も春に新しい葉をつけます。常緑樹は冬に耐えうる丈夫な葉をつくるため、落葉樹に比べて葉の発達がすこし遅めで、光合成する期間が長く、少しずつ葉を落としていきます。

こうしてあらためて知ると、木々それぞれ自然のサイクルに適応しながら生き抜く知恵があるのだなぁと感心します。人間をはじめとした生き物も、冬のあいだはお休みし、春になったら動き出す。その習性は似たようなところがあるので親近感が湧きますね。

また新緑は、俳句の世界では夏の季語(とくに初夏)に分類されます。関連の季語に「青葉」「若葉」がありますが、松尾芭蕉が詠んだこの句が印象的だったので紹介します。

あらたふと 青葉若葉の 日の光  松尾芭蕉

「あらたふと」とは感嘆を表す言葉。これは松尾芭蕉が『おくのほそ道』の旅で日光東照宮を訪れたときに、新緑の美しさに心を打たれて詠んだ一句です。

「日の光」は、太陽の光だけではなく地名「日光」にも掛かるとされています。神聖な山岳信仰の地であり、徳川家康を祀る東照宮への敬意の気持ちも込められているようです。

自然の景色に心動かされながら、目には見えない大きな存在へと気持ちが向かっていくこと。

そんな体験は、個人的にもよくあることだなぁと思います。季節が移り変わっていく中で「あらたふと(ああ!)」と感じる瞬間がたくさんあります。日々いろいろな悩みを抱えていても、その瞬間だけは生きていること、生かされていることを実感し、感謝の気持ちが自然と溢れてくるのです。松尾芭蕉もきっと、長い旅をする中でそんな瞬間を重ねて、この一句を詠んだのかもしれないですね。

今年も新緑とともに、季節の歩みをゆっくりと味わいたいなぁと思います。

参考

新村 出『広辞苑 第三版』 岩波書店(1983年)

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高根恭子

うつわ屋店主
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。

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