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初午はつうま

暦とならわし 2020.02.09

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こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。

戌の日、巳の日、丑の日など……。
12日に一度巡ってくる十二支の動物の名前がつく日で、当然「午の日」もあるのですが、中でも「初午(はつうま)」という言葉を、耳にしたことはあるでしょうか?

これは、2月の最初にやってくる「午の日」に行われる、「稲荷神(いなりのかみ)」に関するお祭りのこと。
「稲荷神」と聞くと、多くの方が「ああ、お稲荷さんのことだよね!」という話になりますが、真っ先にイメージするのは「狐(きつね)」なのではないでしょうか?

でも、これはあまり知られていないことなのですが、「稲荷神」という神様が狐の姿をしているというわけではありません。狐は「御眷属(ごけんぞく)」と言って、その神様にお仕えしている動物で、神様自体は稲の精霊(稲霊・穀霊)が神格化したものだと伝えられています。

その「稲荷神」は、別名で「宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)」「倉稲魂命(うかのみたまのみこと)」などという呼び名もあります。
神様のお名前って、地域や場所によって本当にさまざまなので、私もよく「ああ!この神様って、有名なあの神様と同じ方のことなんだ!」などと驚くことも多いです。

「稲生る=稲荷」というように、言葉が訛って名前となったことからもわかるように、食べ物の神様としての「五穀豊穣」や、「商売繫盛」「諸産業繁栄」などの御神徳がある神様です。

かの有名な京都の伏見稲荷大社が総本社とされているのですが、昔、2月の午の日に稲荷山へ稲荷神が降臨されたという言い伝えから、伏見稲荷大社があの地に鎮座した由来にもなっています。
そのため、伏見稲荷大社はもちろんのこと、全国各地の「稲荷神社」では2月頭の午の日に、毎年「初午祭」が盛んにとり行われています。

「お稲荷さん」と言えば、鳥居や社殿の赤い色を思い浮かべる方も多いはず。正確には「朱(しゅ)」という色が用いられています。

稲荷神社以外にも神社に「朱塗り」の社殿や鳥居が多い理由は、「朱色」が太陽や炎、生命を象徴する色であることから「魔除け」の意味が強いのだとか。さらに、伏見稲荷大社では、稲荷大神様のお力である「豊穣」を表す色と伝えています。
初午祭でも、稲荷神をたたえる赤い幟(のぼり=旗)やお神酒、御眷属の狐が大好物であるという油揚げなどがお供えされています。

この季節は、ちょうど農業の事始めとも重なっていますから、その年の五穀豊穣を祈るという意味でも、稲荷神社にとっては大変に重要なお祭りなのです。

日本全国には今もなお、本当に多くの稲荷神社が存在します。それに、稲荷神は仏教の「茶吉尼天(だきにてん)」という神様と習合したこともあり、仏教系の稲荷祠においても、家庭や企業でお祀りしている個人的な稲荷社においても、「初午」が大切にされています。

今日では、食だけでなく「衣食住」すべてのご利益を授けてくださる神様としても、人々の間で大変広く親しまれています。
「五穀豊穣」「商売繫盛」「諸産業繁栄」の他にも、「家内安全」「芸能上達」「厄除け」「開運招福」などもご利益として挙げられることがあり、もはや「どんなお願い事であっても大丈夫!」と言えてしまう神様かもしれません。

ともあれ、このようなお祭りの大切なところは、自然の恵みや日常の生活などに、きちんと感謝を忘れないことです。私たちはこういったお祭り事を通じて神様へ感謝しながら、すべての人が豊かに暮らせる世の中を願って、祈りを捧げているのですね!

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紺野うみ

巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。

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