コンコンチキチン、コンチキチン。
威勢の良いかけ声とともに、笛、太鼓、鉦(かね)などのお囃子(はやし)が京都の街に響き渡る。
日本三大祭りの1つ、八坂神社の祭礼『祇園祭(ぎおんまつり)』は、全国から観衆が集い、熱気で包まれる京都の夏の風物詩です。
7月1日の「吉符入」から31日の「疫神社夏越祭」で幕をとじるまで、1ヶ月にわたって祭事が行われ、中でも最大の見どころは四条通~河原町通を巡行する「山鉾(やまぼこ)巡行」です。
「動く美術館」とも呼ばれ、それぞれの山鉾の胴体には中国、インド、ペルシャなどから伝わった貴重な美術工芸品が装飾されています。
最大の見せ場は、山鉾を90度回転させる「辻廻し(つじまわし)」。12トンにも達する巨大な山鉾が、曲がり角でぐるっと向きを変える姿は迫力満点。無事に回った瞬間は大きな拍手が沸き起こります。
祇園祭の由来は、今からおよそ1,100年前。
平安時代に京都で流行した疫病を鎮めるため、「祇園社(現在の八坂神社)」にて66本の鉾を立てて祇園の神を祀り、疫病の退散を祈願したのがはじまりです。
その後、中断や再興を重ねながらも市民の熱意で今日まで継承されてきましたが、2020年の山鉾巡行は新型コロナウイルスの影響で中止が発表されました。
公式HPではこのように発表されています。
新型コロナウイルスが蔓延し世界中の人たちを苦しめている今こそ、疫病退散を願ってこの祭りは盛大に行われるべきであることは承知いたしておりますが、一方で山鉾行事は「神賑わい」としての性格もあり、毎年たくさんの皆様が見物にご来場いただいております。しかしながら新型コロナウイルス拡散防止のためには残念ですが大勢の皆様にご来場いただくことは絶対に避けなければなりません
長きにわたり続いてきたメイン行事を中止にするということ。
それは決して簡単な決断ではなかったことがこの文章から伝わりますし、喪失感は計りしれないだろうと思います。
そんな中、立命館大アート・リサーチセンター(ARC)と文学部は7月1日から、特別サイト「祇園祭デジタル・ミュージアム2020―祇園祭の過去・現在・未来―(https://www.arc.ritsumei.ac.jp/lib/vm/gionfestivalDM/)」を公開しました。
このサイトでは、2D・3Dの地図や山鉾巡行のCG動画、おはやしの音声データなどを公開し、デジタル上でも様々なコンテンツを通して祇園祭を楽しめるようになっています。
このウェブサイトを見ていると、大変な状況でありながらも今の時代に応じた形を通して「伝統を守り続ける」「全国の人に祇園祭を届ける」という真っ直ぐな心意気を感じて、胸が熱くなります。
過去にも中断や再興の歴史を重ねてきた祇園祭。その度に発展し、絆が強まり、京都を象徴する祭りに育ってきました。
きっと今回の中断期間が開けた後も、さらに人々の心の奥深くに届く祭りに生まれ変わるのだろうことを願って、今年はデジタル上で祇園祭を楽しみたいと思います。
高根恭子
うつわ屋 店主・ライター
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。
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