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手持ち花火

暦とならわし 2024.08.11

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暑い暑い夏がやってきました。
この日まですでに「暑い」と何回いったことでしょうか..。暑いですね。

こんな日は積極的に涼をとりながら夏をたのしみたいと思います。
プールにスイカ、浴衣にラムネ、かき氷、そうめん..思いつくものは食べ物ばかり。
そうそう、風鈴やすだれ、鈴虫なども風情があっていいですね。

そして忘れてはいけないアイテムがもうひとつ、「手持ち花火」です。
花火の先に火をつけると彩り豊かな炎が噴き出し、手元をあかるく照らしてくれます。

私は幼い頃、手持ち花火が大好きでした。

大きなパッケージにぎっしりと詰まった手持ち花火。
両親が買ってきてくれると、「花火いつやるのー?」としばらくはそのことで頭がいっぱいになりました。とくにスパーク花火がお気に入りで、炎がパチパチと音をたてて大きく広がる様子に釘付けになりました。前に向かって噴き出すススキ花火もお気に入りでした。手先でまるく円をつくると、まるで空中にお絵描きしているかのようで、両親に「危ないよ」と注意されながらキャッキャッと遊んでいた記憶があります。

火が消えないように絶えず花火から花火へとうつっていく様子も好きでした。
次から次へと花火が吹き出すのであたりは明るくなって、気分も高揚。この光景がずっと続いてほしいなと思ったものです。

線香花火も思い出深いです。
ひととおりの手持ち花火をやったあと、いつも最後にみんなでしっとりと味わうのが線香花火でした。
ですが、落ちないように緊張すればするほどに手がプルプルと震えて、最後盛り上がる手前でどうしても火玉が落ちてしまう。「あーあ..」とがっかりしながら、たのしい花火の時間が終わってしまうなんてこともよくありました。今では線香花火が一番風情があって好きなのですが、当時は一番静かでおもしろみがない花火だなと感じていたかもしれません。

大人になってからは、打ち上げ花火を鑑賞するばかりで手持ち花火からはしばらく遠ざかっていたのですが、昨年久しぶりにやる機会がありました。

実際にやってみて思ったのは、やっぱり「見る」のと「やる」のでは全然違うなぁということでした。
好きな花火を選んで火をつける。想像していた炎と実際に噴き出す炎は少しずつ違っているけどとにかくきれいだ、なんてことを考えながらぼんやりと見つめる。
終わるまでのわずかな時間、終わったあとに残る煙を見つめる時間も、余韻たっぷりでなんだかとてもよいのです。

振動も心地よいなぁと思います。
噴き出す炎の振動が、手から身体全身に伝わってきて、ときおり幼い頃の記憶がふわっとよみがえる。この花火懐かしいな、みんなでこんなことをやったな、など、一つの花火から派生して色々な思い出が次々と浮かび上がってくることもあります。

最近はオール電化の生活が当たり前になり、火を見ない人が多くなってきたと聞きます。花火も、禁止されている公園が増えているといいます。
ホームセンターなどにかつてたくさんあった花火コーナーも、ここ数年で商品数やスペースが小さくなったと感じることが多くなりました。

自分でお気に入りの花火を選んで、火をつけて、たのしむ時間。
その一瞬でしか味わえないことってたくさんあると思うのです。

もちろん、「ルールを守って」は大前提にしながら、
ぜひ機会があったら手持ち花火をたのしんでほしいなと思います。

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高根恭子

うつわ屋 店主・ライター
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。

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