おはようございます、こんにちは。編集者の、藤田華子です。
空は青く、陽射しは強く、夏らしい暑さが続きますね。
でも今日は、このうだるような暑さのなかでも、家で楽しめる「俳句」の記念日なんです。
8月19日に制定された理由は、お察しの通り語呂合わせです。正岡子規の研究家であり、俳人の坪内稔典さんらが提唱し、1991年に定められました。
俳句というと、日本の伝統的な表現形式で、17音から成り立つ“短い詩”のようなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。独自のルールのうえで発展を遂げてきたものですが、「切れ字」と呼ばれる、感情や意味を強調するための特別な言葉を使うことが特徴のひとつ。現代では「や」「かな」「けり」といった、みなさんも国語の時間に耳にしたことのあるであろう、3つの切れ字が使われています。
たとえば、有名なこちらの一句。
松尾芭蕉
「や」という一文字がリズムや響きを生み出し、一瞬の美を演出する手助けをしているといえるでしょう。
上記の句を詠んでいる松尾芭蕉は、俳句の発展には欠かせなかった人物です。
奈良・平安時代には和歌が親しまれ、その流れで、室町時代には連歌が流行りました。その連歌の冒頭「五・七・五」が独立したものが俳句の始まりです。江戸時代に松尾芭蕉が形式を整え芸術性を追求し、俳句という形式を確立したとされています。
さて、興味が出てきたぞ、何か作ってみようかなという方に向けて、昔読んだ本に書いてあった、俳句が身近になる一節をご紹介します。20年以上前に読んだ本でタイトルも忘れてしまったのですが、なんだか記憶に刻まれていて。こんなことが書いてありました。
俳句は、実はとてもシンプルで、特別な道具や高尚な知識は必要ありません。まずは身のまわりの自然や、日常の出来事に目を向けてみましょう。たとえば、庭の花が咲いたとき、朝の陽射しを浴びているとき、家族と過ごす楽しい瞬間…そんな何気ない一コマが俳句の題材になります。
どうです?ちょっとハードルが下がったように感じられるでしょう?
一般的に、17音という音数にとらわれず、季語を入れないでに作るものは「自由律」の句と呼ばれることが多く(定義がいくつかあるのです)、「夏の風、庭に咲く花を見つけた瞬間」や「朝のコーヒー、窓から見える青空」なんて、自分が感じたことをそのまま詠んでみるには、ぴったりかもしれません。
始めは難しく感じるかもしれませんが、何より大切なのはきっと「感じたままを言葉にすること」なんだと、私は思います。
季節を表す言葉「季語」を入れようとチャレンジすると、日常に潜む美しさや、日々の変化、小さな発見を楽しむことができるようになるのではないでしょうか。
庭に咲いた一輪の花が、気持ちよさそうに風に揺れているかとか。朝の一杯のコーヒーから上がる湯気が、冬の幸福の象徴のようだとかーーそんな気持ちを一句に込めてみると、目に見える景色が彩られ、豊かに感じられることでしょう。
日常の一瞬を捉える俳句の魅力。ぜひ、今日この日をきっかけに、俳句にチャレンジしてみてはいかがでしょう。思いがけない発見とともに、日々の尊さを、いっそう感じることができるはずです。
藤田華子
ライター・編集者
那須出身、東京在住。一年を通して「◯◯日和」を満喫することに幸せを感じますが、とくに服が軽い夏は気分がいいです。ふだんは本と将棋、銭湯と生き物を愛する編集者。ベリーダンサーのときは別の名です。
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