今日の読み物

お買い物

読み物

特集

カート内の商品数:
0
お支払金額合計:
0円(税込)

手水舎てみずや

暦とならわし 2025.04.29

この記事を
シェアする
  • X
  • facebook
  • B!
  • LINE

こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。

皆様は、神社でお詣りをする際、境内の中にある「手水舎」という施設を使ったことがありますか?
てみずや、てみずしゃ、ちょうずや、ちょうずしゃ、など――。漢字では「手水舎」と書きますが、同じ神社であってもさまざまな呼び方があります。
「手水舎」は、参拝者が神域(聖なる空間)に入る際、手と口をすすいで心身の不浄を浄める場所。
もともと、手を洗うことを「てみず」と呼ぶことから、それを行う建物という意味で「手水舎」と名付けられました。

神社の入り口付近や参道の途中、社殿に至る直前などに設置されており、屋根と柱のみの建物の中に、一般的には流水を満たした水盤(手水鉢とも呼ばれる)と水を掬い上げるための柄杓(ひしゃく)が備え付けられています。

水の流れ出る部分は水を司るとされる龍の口になっているところが多いのですが、神社によってはそれがお祀りされている神様に応じて、(兎、鹿、亀、蛇、鳩など)そのお使いと言われる動物の姿かたちになっていることも。
参拝の際には、こういった違いを注意深く見てみると、いろいろな発見があるかもしれませんね。

神様は「清浄」を好むと言われておりますので、参拝者はこの手水舎で「手水」を行い、心身を整えてから御神前で祈ることが礼儀とされているのです。

手水の作法

①右手で柄杓を取り、水を手水鉢からたっぷりすくう。
②右手で持った柄杓から、左手に少し水をかけ浄める。
③左手に柄杓を持ち替え、右手に少し水をかけ浄める。
④また右手に柄杓を持って、左手を器に水を注ぐ。
⑤左手から水を口に含んで吐き出し、口を浄める。(※柄杓には直接口をつけない)
⑥右手の柄杓から、使った左手に少し水をかけ浄める。
⑦残った水を柄杓の柄の方に流し、浄める。

手水の作法は、細かく説明するとこのような流れなのですが、要は「左手→右手→口→左手→柄杓」の順で浄めていくということになります。
個人的には、最後に柄杓を浄めるというところが、「自分だけでなく、次に使う人のために」という、日本人らしい精神を伝えてくれる素敵な作法だなと感じています。

手水の文化は、神道で伝えられている「禊(みそぎ)=身体を洗いすすぐことで、身についた凶事や罪穢れを除去して浄めること」を簡略化したものであり、その様子は『古事記』などの神話の中にも、神々の行った儀式として描写されています。
伊勢の神宮における五十鈴川(いすずがわ)のように、神道では古来、境内に流れる湧水や川水を使って参拝の前に禊を行い身を浄めるならわしがありましたが、それを一般の参拝者が略式で行う方法として、手水舎が誕生したと言われています。

神道の世界には「禊祓(みそぎはらえ)」という言葉があり、私たちが生きる中で心身に背負ってしまう罪穢れを、折に触れて祓い浄めることを大切にしています。
体の汚れはお風呂に入ればきれいになりますが、心の汚れはどうでしょう?
私たちが神仏に手を合わせてお祈りするということは、そのたびに自分自身の心や生き方と向き合って心の汚れを取り祓い、善くないところを改めるということでもあるはずです。
それはきっと、身に降りかかる災厄をなくしていくことにも繋がるのではないでしょうか。

神社の手水舎には「洗心」という言葉が書いてあることも少なくないのですが、まさしくこの場所は「心を洗い浄めるところ」だと言えます。
皆様も神社に参拝される際は、自分の心を綺麗にすることを意識しながら、手水舎で手水をしてみてはいかがでしょうか。

この記事を
シェアする
  • X
  • facebook
  • B!
  • LINE

紺野うみ

巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。

記事一覧

紺野 うみ|オフィシャルサイト