更待月・二十日月
月の出はさらに遅く、夜更けになってようやく出てくるので、更待月(ふけまちづき)、二十日月(はつかづき)。季節にもよりますが、葉月の場合、大体夜10時頃に出てきますので、上がってくるのは真夜中ということになります。更待月の月の出は春が22時43分、夏が22時43分、秋が20時56分頃です。
十五夜以降の「下り月」はこのように十六夜月(いざよいづき)、立待月(たちまちづき)、居待月(いまちづき)、寝待月(ねまちづき)、更待月(ふけまちづき)と1日ごとに月に名前が付けられていますが、一般には葉月の下り月をさします。これらの名前はすでに平安時代の和歌に詠まれていますので、かなり古いものですが、密教の「七夜待ち」とも関係があるのではないかという説もあります。
夏は低く、冬は高く南中する月が、その中間のほどよい高さに浮かぶのが春と秋です。水蒸気が多く霞みがちな春に比べ、秋は空気が乾燥し、澄んでいることも相まって、秋は自然に月に目がいきます。また春より秋の方が、満月以降の「下り月」が明け方まで高い位置でよく見えます。
いずれにしても昔の人々は満ちていく月よりも、欠けていく月に深い情趣を感じていたことがわかります。
(月の出の出典:国立天文台暦計算室)
文責・高月美樹