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月の船|三日月暦和暦研究家・高月美樹さん

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上弦の月は万葉の時代から「月の船」として和歌に詠まれてきました。

天の海に雲の波立ち月の船 星の林に漕ぎ隠る見ゆ 柿本人麻呂

阿倍仲麻呂の和歌です。天の海に雲の波が立ち、月の船が星の林の間を漕ぎ渡っていくのがみえる。なんとも美しい表現です。「月の船」や「星の林」は日本独自の表現で、月の舟は織姫と彦星を引き合わせる「渡し守」ともされてきました。

久方の天の河原の渡守 君わたりなば楫(かじ)隠してよ 古今集

天の川の渡守りさん、彦星が渡ってきたら帰れないように舵を隠してしまってください、と織姫の気持ちを詠んだ歌もあります。

旧暦の七月七日は毎年、必ず上弦の月になります。満月になることはないので、光が抑えられ、天の川もよく見えます。昔の人々は七夕の夜は星だけでなく、月の舟がゆっくりと空を渡っていくのを眺めていたようです。

片割月

ほかに弓張(ゆみはり)、破月(はげつ)、片割月(かたわれづき)などの呼び名もあります。

文責・高月美樹


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高月美樹

和暦研究家・LUNAWORKS代表 
東京・荻窪在住。和暦手帳『和暦日々是好日』の制作・発行人。好きな季節は清明と白露。『にっぽんの七十二候』『癒しの七十ニャ候』『まいにち暦生活』『にっぽんのいろ図鑑』婦人画報『和ダイアリー』監修。趣味は群馬県川場村での田んぼ生活、植物と虫の生態系、ミツバチ研究など。

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