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星の色

月と星 2024.05.08

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こんにちは。星空案内人の木原です。

春から初夏の季節になり、様々な生き物や植物などが私たちの世界を彩ってくれています。せわしなく飛び回る鳥や虫、木の若々しい葉っぱたち、おいしそうな旬の食材。私たちが受け取る情報のうち約80%が視覚からと言われています。暦生活さんの「365日にっぽんのいろ図鑑」を眺めていると、はるか昔から「色」は、その季節や気候、暮らしを表す要素でもあったのだなと感じます。

星の世界にも色にまつわる和名が伝わる星があります。例えば「アオボシ」。皆さんは青い星が思い浮かびますか?星の色をよーく観察すると、おとめ座にあるスピカやはくちょう座のベガが青白い輝きに見えます。その中でも和名アオボシと呼ばれていた星は冬の星座のおおいぬ座にあるシリウス。夜空に見える恒星の中で最も明るい星です。冷たい風が吹く夜に輝く強い光がその和名を使っていた地域の人々にとって、青色に見えていたのでしょう。

おおいぬ座 写真提供:木原美智子

また、アカボシと呼ばれていた星もあります。アカボシはさそり座のアンタレスやおうし座のアルデバラン、火星、宵や明け方に見る金星を指す、など諸説ありますが、どの星にも共通しているのが明るく目に留めやすい輝きを持っていることです。自分たちの暮らしをしていくために、大事な時期を知らせる目印となる星を、誰もが分かる色で表現していたのだろうと想像します。日本では、星の世界でも暮らしと色が結びついていたのです。

ただ、シリウスが本当に青色なのか?と言われると、天文学の世界の話題になってきます。天文学的にはシリウスは白色です。星座を形作る星々は太陽と同じように自ら光を発していて、自身の表面温度で色が決まることが分かっています。学校の理科室や雑貨屋などで、プリズムを通した太陽の光が七色に分かれているのを見たことはありませんか。

あれと同じ原理で星の色を調べることができます。星の光を観測専用のプリズムに通すと、星の光が同じように虹色に分かれます。この分解された星の光を「星のスペクトル」と呼び、スペクトルの特徴を調べることで、その星のスペクトル型が決まります。それから表面温度が推測され、星の色も判別できるのです。

以前、「月は本当は何色?」と質問されたことがあります。地上から見れば、白色や薄い黄色に見えますし、月探査機の映像からは一面灰色の世界にも見えます。1つのものをどのように感じるかは、どの視点に立つかが大事なのかもしれません。

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木原美智子

星空案内人
広島県出身。瀬戸内の宙を見て育ちました。好きな季節は、コスモスが咲き、凜とした空気が漂う秋。宙を見上げるのが好きなので、星だけじゃなく宙にあるもの、宙に関わる文化に興味があります。ペンギンと野球も好き。

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