こんにちは。星空案内人の木原です。
今年も残り1ヵ月。街が年末に向けてそわそわと賑やかになりつつありますが、宙でも明るい冬の星座たちがいそいそと出てきて煌びやかになってくる時期です。赤い星、白っぽい星、星団に星雲と、四季を通して最も華やかなシーズンが始まりました。
そんな冬の星座たちの中に、血走った眼をもった星座があります。勇ましい牛の姿で描かれるおうし座です。おうし座の目の位置に1等星アルデバランがあり、その力強い赤色の輝きが何かに興奮しているようなおうしの姿を演出しています。
おうし座は星の並びからその姿を思い描きやすい星座でもあります。アルデバランを目印にVの字で顔が描かれ、アルデバランのすぐ側には、星たちがわちゃわちゃと集まっているヒヤデス星団があります。顔からは立派な長い角が伸びていて、おうしの背中のあたりには、和名すばるで有名なプレアデス星団が輝いています。これだけ見どころたくさんのおうし座。モデルとなったのは、大神ゼウスが化けた牛の姿です。
これまでも何度かゼウスが美人を連れ去ったお話を紹介しましたが、おうし座もゼウスが美女を攫ってしまう神話がモチーフになっています。
フェニキアの王アゲノールにはエウロパという娘がいました。エウロパの美貌は天上界の神々の間でも噂されるほどで、そんな美女がいたらゼウスが黙っているはずもありません。
ある日、エウロパが野原で遊んでいるところに、一頭の美しい白い牛がやってきました。牛は大人しく寝転んでいるだけだったので、エウロパはその背中に腰を下ろしました。するとその途端、牛は起き上がり、とてつもない速さで走り始めたのです。エウロパは振り落とされないように角に捕まることに必死。牛はエウロパを背中に乗せたまま、山を越え、海を渡り、広い大陸へと辿り着きました。牛はエウロパを背中から降ろすと、本来の姿であるゼウスに戻り、エウロパに胸の内を明かしたそうです。そして、エウロパが降り立った大陸は、ヨーロッパ大陸と呼ばれるようになったそうです。
日本では、おうし座全体よりも、プレアデス星団(すばる)やヒヤデス星団など天体単体で親しまれてきた歴史があります。ヒヤデス星団の和名には釣り鐘星というのがあり、おうしの顔のVの字の星の並びを釣り鐘に見立てています。
今月末には、各地で除夜の鐘が鳴り響きますね。宙でも釣り鐘星が新年の始まりを知らせてくれているはずです。
写真提供:木原美智子
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