こんにちは。暦生活編集部です。
今日は七十二候の「桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)」についてのお話です。
突然ですが、桐の花を見たことはありますか?
見たことがないという人も、お財布の中を見てみると、桐の花が見つかるかもしれません。
実は、500円硬貨の表に描かれているのが桐の花なのです。
七十二候の「桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)」は、そんな桐にまつわる七十二候です。桐の花は4〜5月に開花期を迎え、枝先に釣鐘型の薄紫色の花を咲かせます。花が終わると卵形の固い実がなりはじめますが、「桐始結花」はこの実がなる頃。
桐の原産地は不明とされていますが、日本へは中国から朝鮮半島を経由して伝えられました。古くから質のいい木材として利用され、タンスや下駄(げた)、箏(こと)の材料として大切にされてきました。特に桐タンスは高級家具の代名詞。昔の農家では、女の子が生まれると庭に桐を植え、成人したときにその桐でタンスを作り嫁入り道具として持たせたそうです。
中国では鳳凰(ほうおう)がとまる木として神聖視され、日本でも高貴な紫色の花を咲かせることもあり、同じように神聖な木とされてきました。そしてついた花言葉は「高尚(こうしょう)」。ここまでくると少し近寄りがたい気もしますが、それだけ大切にされてきたということでしょうか。
日本には桐をモチーフにした紋章がいくつかありますが、それらは桐紋(または桐花紋)といいます。「菊の御紋」に次ぐ高貴な紋章とされ、歴史上の人物では足利尊氏や豊臣秀吉の家紋になっています。日本国政府の紋章にもなっており、日本との結びつきはとても強い植物です。
今度500円硬貨を手に取るときは、こっそり確認してみてください。
※七十二候(しちじゅうにこう)は、日本の1年を72等分し、季節それぞれのできごとをそのまま名前にした、約5日ごとに移ろう細やかな季節です。
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