五月も半ば、二十四節気は小満を迎えました。「万物が成長し、天地に満ち始める」、という幸福感あふれる季節です。一年のなかでも最も新緑が光り輝くこの時季に、さて、なにをして過ごしましょうか。
ちょうど今、山椒の実がなり始めています。
放っておいたら、庭のあちこちに山椒の木が生えてきました。四月にはいって芽吹きのころは、木の芽を摘むのに重宝します。ただ、まだこれらの木は丈が1メートルにも満たないので、実はなりません。
いっぽう、庭の隅にひょろりと高く伸びた木が一本だけあって、この山椒は実を鈴なりにつけます。昨年はどうもハズレの年だったようでしたが、その分今年はジャンジャンに実をつけてくれました。
この実を放っておくテはありません。山椒は、独特の鋭くさわやかな芳香がたまらない魅力。ということで、実や葉を収穫して存分に食すことにします。
まずは、伸び放題になった山椒の木を、剪定も兼ねて枝ごと切ってくる。しかるのち、葉っぱや実を枝から手で取っていきます。
ただこれが、意外に時間がかかる作業。こういうときは慌てても仕方がない。好きな音楽を聴きながら、一緒に歌って気分を高揚させるのが肝要。音楽じゃなくても、落語でも映画でもラジオでもなんでもOK。自分の気持ちがアップする音源を。
葉っぱは佃煮にします。芽吹きのころは葉っぱを摘んでそのままちらし寿司や筍ごはんなど、お料理になんでもふりかけて食べちゃいますが。
実がなるころは、葉っぱも少々「コワく」なってきますね。なので、軸をとって葉だけにして佃煮に。まだ実になっていない花がついていれば、それも一緒にお醤油とお酒で煮れば出来上がり。
実は、アクを取るために7回茹でこぼしを。これはむかし、お料理上手の近所の奥さんに教わった方法。茹でこぼして、最後に水にさらして1時間。茹でた山椒の実の緑色はなんともいえない美しさです。
茹でた実は、そのまま冷凍しておいても便利。佃煮や塩茹でにして瓶に詰めておけば、料理に使えて便利です。ちりめん山椒を作ってもいいな。煮物や蕎麦うどん、炊き込みご飯のトッピングにも。味を濃く作っておけば、冷蔵庫で一年間、来年の山椒の実を収穫する時まで使えます。あんまり食べすぎると、口の中がシビれるのでご用心。
それにしても、もう来年の小満のことを考えているって、これはいささか気が早すぎますね。
平野恵理子
イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。
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