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二十四節気と暮らしの道具/立秋りっしゅう

二十四節気と七十二候 2024.08.07

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立秋 8月7日~21日 七月節〈初めて秋の気立つがゆえなればなり『暦便覧』〉

菅笠(すげがさ)で涼しく日除け

暑いあつい毎日が続いて、まだもうしばらくは辛抱しなければ、という時季ではありますが、「立秋」の言葉を聞くと、それだけでどこか涼風が抜けるような気もしてくるから不思議です。
というわけで立秋、暦では秋が始まりました。たしかに日が少しずつ短くはなっていますが、まだまだ蝉は元気に鳴いているし、午後の日差しは厳しく照りつけています。少なくとも、お彼岸までは暑さに気をつけなければなりません。

この時季、外で作業をするときは日除けが必須です。麦わら帽子もいいけれど、菅笠に勝るものはなし。素材がまず涼しげですね。サラリとした肌触りで通気性もあります。そのうえ軽くて丈夫。水濡れにも強いのです。そんな優秀な菅笠は、庭仕事をするのに欠かせません。  

実際に頭に乗せて使ってみると、菅笠のよさを実感します。そう、かぶるのではなく、頭に乗せる感覚。笠の内側に竹でつくられた「五徳」がついていて、これが頭と笠の間に空間を作ってくれるという仕組みです。帽子と違って、笠と頭の間を風が抜けていきます。風通しがよくて、頭が蒸れません。そうか、笠ってこうなっているのか。感服したわけです。

山の家を使い始めてすぐのこと、近所の荒物屋さんで目にした菅笠を買って使うようになったのが、菅笠とのお付き合いの始まりでした。庭仕事にかぶるとまことに調子がいい。以来40年近く、いくつもの菅笠を手に入れて使ってきました。今は年季のはいった歴代の菅笠たちが、玄関の壁にずらりと並んでいます。

菅笠の魅力は、軽くていい日除けになり、風通しがいいだけではありません。水にも強いのですね。「蓑笠」という言葉のとおり、雨具としての役割もあります。撥水性があるとは、やりますね、さすが菅笠。傘は手に持って頭上にかざすものですが、これと区別して、かぶる笠は「かぶり笠」とも呼ばれます。雪が降る中での雪掻きにも実力を発揮してくれそうです。

形や用途によってさまざまな名前がついている笠。我が愛用の笠はどれも菅笠ですが、ほかにも藁(わら)や藺草(いぐさ)、竹などで編まれたものもあります。ぜひ一度、笠の魅力に触れてみていただけたらと思います。

イラスト:平野恵理子

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平野恵理子

イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。

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