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花鳥でめぐる二十四節気/清明せいめい

二十四節気と七十二候 2025.04.04

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◎清明 4月4~19日 「カタクリとツバメ」

清明です。草木が芽をほどき、日に日に緑が広がってくる、そんな季節です。
清明とは、「清浄明潔」の略。清らかな春先の生き生きした様子が簡潔に表現されています。

そろそろツバメが空を切って飛び始めるころでもあります。春になったので、南からやって来たのですね。お帰りなさい。そう、ツバメは夏鳥です。本朝七十二候では、清明の初候が「玄鳥至(つばめきたる)」。にぎやかな鳴き声と、カミソリのように飛ぶ姿で、ツバメが来たことに気づきます。

いっぽう地面を見ると、美しいカタクリの花が咲いています。ちょうど清明の頃、毎年同じ場所に待ち合わせの約束をしたかのように咲くカタクリ。球根植物ならではの律儀者です。

その球根は、元来「片栗粉」の原料となるものでした。ただ、いま一般に売られている片栗粉は、カタクリの澱粉ではなく馬鈴薯澱粉。それでも、名前は「片栗粉」の名のままなのが面白い。

カタクリの花が咲くと、もう本格的な春。表に出て、ガッチリと庭仕事を始める季節です。まだ遅霜の恐れはあるけれど、日が出ている時間はそんなに寒くありません。種を蒔いたり、苗を植え込んだり。そんなことをしていれば、午後はあっという間に終わります。

これからは、自分の庭だけでなく、出かけた先のおうちのお庭にも道沿いにも、花が溢れる季節です。カイドウ、ハナズオウ、ハナミズキにレンギョウ、ヤマブキ、ユキヤナギ。どちらを見ても、花、花、花。

もちろん木の花だけではありません。足元でも、ハコベにナズナにハハコグサ、と春の草が勢揃い。どれも小さな花なれど、可憐に元気に咲いています。春が本当にやってきたと実感するときです。

これからは、植物だけでなく、小鳥もにぎやかに活発に動き始めることでしょう。あちこちから明るい鳴き声が響いてきて、こちらまで幸せな心持ちにさせてもらえます。ジュクジュクジージー、ツバメの声もさらにパワーアップしているようです。

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平野恵理子

イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。

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