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花鳥でめぐる二十四節気/立夏りっか

二十四節気と七十二候 2025.05.05

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◎立夏 5月5~19日  「ハナショウブとオオルリ」

風薫る5月、爽やかな季節となりました。5日は立夏です。早くも夏の始まりです。緑したたる草木の若葉が美しく輝いています。空気の清涼感と抜けるような青空が気持ちよく、外に出ずにはいられません。

山からは、その季節にふさわしい青色をしたオオルリの声が高らかに聞こえてきます。夏鳥として渡来し、「ピールルピルルー」とそのさえずりは透明感たっぷり。幸せを呼ぶ鳥とも呼ばれる小鳥です。

オオルリの瑠璃とは青い色の宝石のこと。「瑠璃も玻璃も磨けば光る」のことわざにも出てきますね。いっぽうの玻璃は水晶のことです。ともに仏教の「七種の宝」に数えられ、あとの五種はというと、金、銀、硨こ(シャコ貝)、珊瑚、瑪瑙。古代インドや中国などで珍重されました。

瑠璃には「ラピスラズリ」の名前もあります。ラピスはラテン語で石、ラズリはペルシア語で青、空、天を意味するそう。絵の具でいえばウルトラマリン。ウルトラマリンはもともとラピスラズリが原料です。

深く吸い込まれるような青色。そんな瑠璃色の小鳥の透き通った声が響く初夏の森です。これからの季節、鳥たちは子育てに忙しい日々を過ごすことでしょう。そんな鳥たちをあたたかく見守ろうというのが「愛鳥週間」。今年も5月10日から始まります。

ところで、今年も立夏は端午の節句の日から始まります。端午の節句に飾られる花はハナショウブ。青くキリリとした花は、いかにも清々しい少年を思い出させます。端午の節句に飾るハナショウブの花、そしてまたこれとは別の、サトイモ科のショウブの葉を軒に挿したり、お風呂に入れて菖蒲湯にしたりもします。端午の節句は、両ショウブが大活躍。

端午の節句で始まる立夏。おいしい柏餅か、あるいは粽を味わい、夏の始まりをもお祝いすることにしましょう。

イラスト提供:平野恵理子

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平野恵理子

イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。

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