料理人の川口屋薫です。
今回のお話はパセリ。ギリシャ語の「Petro 石や岩」と「Selinon セロリ」が合わさった「Petroselinon 岩場のセロリ」から、フランス語ではペルシ(Persil)、英語ではパースレー(Parsley)と呼ばれています。かわいらしい名前の由来に、野生的な強さを感じる岩が含まれているとは面白いです。

紀元前から食用されていた西洋野菜らしく、地中海沿岸に自生していたそうです。日本原産のセリやミツバと同じセリ科のパセリは、オランダから伝わりました。
日本では品種改良されて、あの小さな木のようなチリチリした葉になり、明治時代にトンカツ屋さんがパセリを添えたことから、飾る野菜として広まったという説があります。今では、緑黄色野菜の中でも栄養価の高い野菜として注目され、パセリを主役にしたレシピやスムージーなどがあります。

もうひとつ馴染みのあるイタリアンパセリがあります。
私がイタリアで料理学校に通って、レストランで修行をしていた頃、イタリアンパセリをみじん切りにする作業は、最初にすることと決まっていました。理由は料理が上達するからです。

水洗いをして、しっかり水気をとったあとに、サラサラの葉を茎から取ります。まだするの?と思うほど、葉を細かく刻みます。
調理が始まると、時間に間に合わせようと慌ただしくなるので、最後の仕上げ段階で、みじん切りすると、失敗しやすくなるのです。
うっかり忘れてしまった時もありました。水でベチョベチョの葉は完全には拭きとれません。葉が包丁について、刻みにくく、パスタの上からふるとダマになって、盛り付けも台無しです。

サラサラのイタリアンパセリは、料理の姿勢をビシッと決めて、美しい仕上がりになります。品のよい味は、細かく刻んだからだとわかるのです。
私はイタリア料理を教える時、イタリアンパセリのみじん切りから始めるようにしています。
今は一年中、手に入る生のイタリアンパセリですが、余ってしまいがちです。冷凍保存もできますが、毎日イタリア料理というわけにはいきません。忘れてしまうこともありますので、普段の家庭料理の仲間に入れて、たまには違うテイストで楽しむと無理なく使いきれると思います。
凝った料理よりも、目玉焼き、焼き魚など。デリバリーやテイクアウトしたお惣菜に足してもいいです。

真夏の頃、レストランで食べた、夏野菜にのせたオーブン焼きを手軽にできるようにアレンジしたレシピです。
お盆が過ぎると、秋の足音が少しずつ聞こえてきます。キノコや秋刀魚のソテーにも活躍してくれると思います。
イタリアンパセリバター

材料
・イタリアンパセリ茎付き 5g(葉のみ使います)
・バター 60g
・にんにくのみじん切り 2g
・粉チーズ 5g
・パン粉 5g

作り方
①やわらかくなったバター、イタリアンパセリとにんにくのみじん切り、粉チーズをボールにいれて、スプーンでよく混ぜ合わせる。
②使う前にパン粉を混ぜて、火を通した野菜や肉、魚の上にのせて、オーブントースターか
魚焼きグリルで、焦げ目がつくまで焼きます。仕上げに塩をすこしふりかけて完成です。

アレンジ
テフロン加工のフライパンに、全ての材料をいれて、弱火でパン粉がカリカリになるまで炒めます。サラダや卵料理、パスタのトッピングに。(この時のバターの分量は10gにしてください)


川口屋薫
料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁
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