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トマト

旬のもの 2020.06.24

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こんにちは。梅雨明けを心待ちにしている料理人の庄本彩美です。
本日はトマトについてのお話です。

冷蔵庫からトマトを取り出した。3個セットで買った分の最後の1つだ。
「どうやって食べようかな」しばしトマトを見つめて考える。
最初の1〜2個はサラダや和え物などにして、そのまま食べるが、3日連続でトマトを食べるとなると、少し調理方法を変えないと飽きてしまう。

農家育ちの私の家では、トマトが収穫され始めると、毎食トマトサラダバー状態になった。父は塩をかけて食べるのが好きで、私も真似て食べていた。しょっぱい塩がトマトを甘くするなんて、何て不思議な現象なんだろうと、塩をちびちびつけて食べていたら、母につけ過ぎだと怒られた覚えがある。
あれは夏休みの記憶だった気がするが、実はトマトは夏の野菜とは言い難いらしい。

調べてみると、トマトの原産地は南米アンデスの山岳地帯で、高温多湿の日本は苦手なんだそう。晩秋に苗を植えて春に実るものや、北海道の秋どれは味が濃く、糖度も高い。味的にはこの時期が旬と言えるだろう。

家では、畑から採ってきたものをすぐ切って食べていたので、いつも新鮮な状態だった。今になって、贅沢な環境で育ったことに気がつくのだが、あんまり生のトマトばかりだと、あの無限トマトを思い出してしまって、お腹いっぱいな気持ちになってしまう。

しかし、自分で料理をするようになってからは、トマトは加熱しても美味しいということを覚え、色んなトマト料理がある事を知った。
ラタトゥイユやスープ、グリルなんかもいいが……
「ちょっと柔らかくなったトマトには、やっぱりあれかな」

私は「トマトの炒めもの」を作ることにした。台湾料理の一つで「蕃茄炒蛋・ファンチェチャオダン」と呼ばれている。
トマトを卵と一緒に炒めただけのシンプルな料理で、家庭料理として食されているだけではなく、レストランやローカル食堂でも人気がある。
台湾料理は肉や魚の濃い味付けのイメージも強いが、野菜を上手く活かした料理も多く勉強になる。

ニンニクを入れたり、ケチャップ、鶏ガラのもとなどで味付けをするなど、様々な作り方があるが、私はトマトと卵、塩とネギだけで調理する。
油と塩、そして熱がトマトの美味しさを最大限に引き出してくれる。
卵を先に半生程度に炒めて取り出して置いてから、トマトを少し蒸し煮のように炒めるのがポイントだ。
トマトの酸味に合うふわふわの卵がトマトに絡み、さっぱりながらも食べ応えのある味にまとまっている。

夏に収穫されるトマトは、糖度があがりきっておらず水気が多く味が薄い。さっぱりと食べられるので夏に合う味わいではあるが、加熱することで味を凝縮させて食べるのもまた美味しいだろう。真夏のトマトで炒め物を作る機会も増えそうだ。

なるべく野菜をちゃんと使い切れる量を買おうと決めているものの、このレシピがある限り、これからも安心してトマトは買うに違いない。

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庄本彩美

料理家・「円卓」主宰
山口県出身、京都府在住。好きな季節は初夏。自分が生まれた季節なので。看護師の経験を経て、料理への関心を深める。京都で「料理から季節を感じて暮らす」をコンセプトに、お弁当作成やケータリング、味噌作りなど手しごとの会を行う。野菜の力を引き出すような料理を心がけています。

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