こんにちは、こんばんは。
くりたまきです。
子どものころ、秋になるとよく集めていたどんぐり。つやつやした宝石みたいな実を、ポケットにたくさん詰めて遊んでいたのを思い出します。いろんな形のどんぐりがありますが、クヌギやナラなど、ブナ科の果実をまとめて「どんぐり」と呼んでいます。果実なの?と思う方もいるかもしれませんが、堅い表面の皮を持っている「堅果(けんか)」の一種なんです。
日本では昔、クヌギやナラの木は木炭の材料として重宝されていました。日本中の里山に生えていて、秋になるとどんぐりの木々の葉は黄色く染まり、山を彩っていたのです。どんぐりは子どもたちのおもちゃになり、山の動物たちの冬を越すための貴重な食料になっていました。なじみ深いどんぐりは、俳句の材料にも取り上げられています。江戸時代を代表する俳人、小林一茶はこんな句を読みました。
どんぐりのかわいらしさが表れている句です。言葉のリズムがここちよく、心が明るくなります。どんぐりを手のひらの上でころがしてみたくなりませんか。
時代は変わって、里山は少なくなり、材木になるスギやヒノキなどの針葉樹を植えるために、クヌギやナラの木はどんどん伐採されてしまいました。しかし、豊かな森をつくるためには、針葉樹だけでなく広葉樹も必要です。現在では、どんぐりの木を植樹する活動が日本各地で行われています。
どんぐりを落とす落葉広葉樹は、実だけでなく葉を大量に落とします。この葉が腐葉土になり小さな生き物の住処にもなり、森の保水能力を高めてくれます。これによって、栄養豊富できれいな水が生み出されるのです。それだけでなく、地中深くまで根を張るため地盤を強くし、土砂災害防止に役立ちます。
さらにどんぐりの実は、鳥や昆虫、動物などの食料となるため、いろんな生物たちが集まり、森が豊かになるのです。
こうした理由でどんぐりの植樹活動が各地で広がっているのですが「拾ってきたどんぐりの芽が出た!」という経験のある方は少ないのではないでしょうか。ちなみにわたしはありません。じつはただ蒔くだけでは、芽は出にくいんですって。大切なのは、乾燥させないこと。木から落ちたばかりのどんぐりをすぐに土に埋めて、土を乾かさないように気をつけていれば、春に芽が出ます。どんぐりの固い殻をから芽が出てくるってすごいですね。
ちなみに、こうしたどんぐりを育てるための役目を森ではリスが担っているのだそうです。冬にえさが少なくなる前に、森のあちこちにどんぐりを埋めて隠しておいてくれるおかげで、どんぐりが育つんですって。
それから「寒さをちゃんと味わう」ようにしないと、どんぐりは発芽しません。育てるときには、屋外で土に浅く植えて、乾燥しないように水をやるとよいそうです。
寒さを乗り越えて、春には芽を出す。わたしも、どんぐりみたいに冬を味わって、春に成長できたらいいなあと秋の真っ最中ですが、つい先の季節のことを考えてしまいました。
栗田真希
ライター
横浜出身。現在は東京、丸ノ内線の終着駅である方南町でのほほんと暮らす。桜をはじめとした花々や山菜が芽吹く春が好き。カメラを持ってお出かけするのが趣味。OL、コピーライターを経て現在はおもにライターとして活動中。2015年準朝日広告賞受賞、フォトマスター検定準一級の資格を持つ。
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