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ミーニシ(新北風)

旬のもの 2021.11.10

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こんにちは。気象予報士の今井明子です。
そろそろ木枯らしの便りが聞こえる時期になりました。この季節は沖縄にも、木枯らしにあたるような風が吹きます。それが「ミーニシ」です。ミーニシは漢字で書くと「新(ミー)北風(ニシ)」となります。

夏から秋に変わるとき、日本列島には秋雨前線が停滞します。
これは南にある高温多湿な太平洋高気圧と、北の大陸の高気圧との間にできる前線です。初夏に停滞する梅雨前線が北上すると日本列島は本格的な夏を迎えますが、秋雨前線は季節の移ろいとともに次第に南下します。
そして10月頃になると、沖縄も太平洋高気圧ではなく、大陸の高気圧に覆われるようになるのです。すると、それまでの南東季節風ではなく、大陸の高気圧からの北東の風が吹くようになってきます。これがミーニシです。

ミーニシは乾燥した空気で構成されている大陸の高気圧由来の風です。
太平洋高気圧由来の高温多湿な南東季節風と比べてカラッとしているのが特徴です。寒くはないのですが、湿度が低い分涼しく感じます。
しかし、水温はまだ高いので、海で泳ぐこともできます。1年で最も心地よい季節ということもあり、ウィンドサーファーがこの季節を狙って沖縄を訪れます。

また、ちょうどこのころ、タカ科のサシバという渡り鳥が越冬のために南下し、沖縄にやってきます。ですから、沖縄の人々は昔から「ミーニシに乗ってサシバがやってきた」と言って秋の訪れを知りました。

以前は、沖縄気象台がミーニシが吹く日や、サシバの南下初見日を発表していました。今ではこれらの発表は行われていませんが、五感を研ぎ澄ませば季節の変わり目を実感することはできます。木枯らしは冬の訪れを告げる風なのに対し、ミーニシは沖縄の短い秋の到来をもたらす風なのです。

木枯らしと同様に、ミーニシから始まる北東の季節風が吹き続けるにしたがって気温が徐々に下がっていきます。そして冬へと向かっていくのです。

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今井明子

サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。

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