こんにちは。料理人の川口屋薫です。
今日のお話は、旬を迎えた「トウガラシ」です。ナス科トウガラシ属の野菜で、甘味系と辛味系に分類されていますが、今回は辛味系を中心にお話をしたいと思います。収穫の時期は、夏から青トウガラシ、秋頃には赤く色づいた赤トウガラシになります。
辛味系の種類は、鷹の爪をはじめ、沖縄の島とうがらし、メキシコのハラペーニョ、韓国トウガラシ、タバスコの10倍の辛さがあるハバネロなどがあります。
この辛味がある主な理由は、鳥に食べてもらうためだそうです。
鳥類は、ほ乳類に比べると辛味をあまり感じない味覚をもっているため、食べることができます。トウガラシの薄っぺらい小さい形の種は、鳥の糞と一緒に排出され、土に戻り新しい芽がでるといいます。
動けない植物のトウガラシが、鳥の力を借りて子孫を残してきたことを知ってすごいなぁと思いました。
では、トウガラシはどのように世界中に広まっていったのでしょうか?
トウガラシの原産地は中南米で、紀元前6000年〜7000年頃から食べられていたとされています。
世界中に広まったのは、15世紀。コロンブスがアメリカ大陸からヨーロッパに持ち帰った後、16世紀にはインド、中国、そして日本へと伝わっていきました。
日本に伝播した諸説はいくつかあり、ポルトガル人によってカボチャとともに持ち込まれた説、豊臣秀吉が朝鮮出兵時に日本に持ち帰った説などがあります。
奈良の興福寺にある塔頭(たっちゅう)多聞院の僧侶達によって、140年書き継がれた「多聞院日記」によると、1593年(文禄2年)2月に、トウガラシ栽培についての記述が残されています。
こせう(胡椒)の種をもらって植えた。赤い袋状の果実で中に種子があり、肝をつぶすほど辛い。茄子と同じように植えたらよいと教えてもらった。
辛いこと知らずに食べたら、驚きますよね。
江戸時代に入り、蕎麦が大流行したことで、薬味に合う七味唐辛子にも人気の火がつき、一味唐辛子と合わせて、調味料として使われるようになりました。
食べすぎは避けた方が良いですが、適度な辛味には、夏を元気に過ごす役割もあります。
辛いものを食べると汗をかきますが、蒸発するときに起こる「気化熱」によって身体の熱を奪い、ひんやりと涼しく感じますし、辛味成分のカプサイシンは、身体を温めてくれ、冷たいものを食べ過ぎたり、冷房の効いた部屋で過ごすことによる身体の冷え対策にも良いとされています。
さて、今回のレシピは、旬の青トウガラシと青柚子を使った「柚子こしょう」とイタリアの漬物(トウガラシの中にツナを詰めたもの)をヒントにした「ドレッシング」を紹介します。
爽やかな辛味と酸味は、夏に似合う味わいですよ!
柚子こしょう
材料
•青トウガラシ 2g(約½本)
•青柚子 6g(約小玉3個分)
•塩 2g
作り方
①青トウガラシは種をとりのぞいて、細かくみじん切りにします。
②青柚子は皮の部分のみ、おろし金ですりおろします。
③容器に①と②、塩を入れて、よく混ぜ合わせたら完成です。
※注意
青トウガラシを扱う際は、必ずビニール手袋をはめてください。
指で目、鼻などを触らないようにしてください。刺激で痛みを感じてしまうからです。
柚子こしょうは密封容器に入れて冷蔵保存してください。
柚子こしょうとツナのイタリアンドレッシング
材料
•柚子こしょう お好みの量
•オリーブオイル 大さじ1
•酢 大さじ2
•塩 小さじ½
•砂糖 小さじ½
•刻んだ生の青トウガラシ ½本(お好みの量)
•すりおろしたときに使った青柚子の搾り汁
•ツナ缶 1缶
作り方
①ボールにツナ缶以外の材料を全て入れてよく混ぜ合わせます。
②最後にツナ缶を入れて、混ぜ合わせたら完成です。
おすすめの食べ方
柚子こしょうは、大根おろし、茹で枝豆、冷しゃぶ、焼鳥、ざるそばの薬味や、チーズトー ストやピザ、ポテトフライにつけても合います。 ドレッシングは、茹でた鶏のムネ肉をほぐしたものと和えて、胡瓜の千切りとミニトマトを 合わせました。そうめん、冷奴、パンにのせる具にも合いますよ。
川口屋薫
料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁
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