おはようございます、こんにちは、編集者の藤田華子です。
街路樹の葉が色づき、冬の気配がする今日この頃。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
さて今回は、日本の冬の風物詩「こたつ」についてです。
こたつは、私たちにとってただの暖房器具ではなく、家庭の温もりの象徴のような存在。家族団欒、こたつでみかんを食べて〜なんてシーンを、冬の幸せな日常の風景として思い浮かべる方も少なくないことでしょう。
こたつの歴史を振り返ると、起源は意外にも古く室町時代まで遡ります。日本の家屋は、季節の移り変わりや、多湿な環境から、湿度のこもらない通気性の良い家づくりが良しとされてきました。それは裏を返すと、ビュービュー寒い家でもあるということ。冬は、とにかく寒かったんですね。
そこで囲炉裏の火力を落とし、上に布をかけて熱を逃さないようにしていたのがこたつの元祖、というわけです。江戸時代になると、立体的なやぐら台に布団をかぶせた「やぐらこたつ」が登場。そして床をさらに深く掘り、腰を掛けて座れるようにした「腰掛けごたつ」「切りごたつ」も誕生します。
順調に進化を続けてきたように思えて、当時のこたつには大きな問題があるんです。それは、好きな場所に持っていけないこと。囲炉裏も、床を掘って作ったこたつも、移動できませんから。そこで囲炉裏ではなく火鉢を熱源とした「置きこたつ」が生まれました。
現代のこたつは、洋室に似合うようテーブルの形になっていたり、火傷のリスクを減らすよう温風が出るようになっていたり、さまざまな形がありますが、基本的な構造は変わりません。こたつの魅力のひとつは、そんなシンプルな使い勝手の良さも挙げられるでしょう。
こたつ布団の中で足を伸ばせば、家族や友人との会話が弾む時間を過ごせますし、その場に居合わせた人との絆を深める装置である点もいいですよね。夕食後のひととき、こたつに入りながら交わす会話や、こたつの中で眠ってしまうなんていうシーンは、まさに冬の風物詩。私たちの心をほっとさせてくれる、大切な時間です。我が家では、かわいらしく「おこた」と呼ばれ、親しみのある場所でした。
そして、こたつはまた日本の食文化とも密接に関連しています。こたつの上で食べる鍋やおでん、みかんは、まさに冬の定番!それに加え、キンキンに冷えたアイスを食べる時間もまた至福…何とも言えない幸せを感じます。
この冬も、ぜひこたつで心温まるひとときをお過ごしください。寒い季節には、こたつの存在が一層輝きます。こたつの中で過ごす時間が、皆さまにとってかけがえのないものとなりますように。
藤田華子
ライター・編集者
那須出身、東京在住。一年を通して「◯◯日和」を満喫することに幸せを感じますが、とくに服が軽い夏は気分がいいです。ふだんは本と将棋、銭湯と生き物を愛する編集者。ベリーダンサーのときは別の名です。
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