こんにちは。気象予報士の今井明子です。
山の上や北国から、紅葉の便りが聞こえてきます。晩秋といえば紅葉のイメージが強いものですが、晩秋に見ごろを迎える花もあります。それが菊です。
品種改良がくわえられ、人の頭ほどもある大菊や、中型で独創的な形の古典菊、そして小さな花々が集まって思い思いの形に形作られた小菊など、種類はさまざま。どれも見るたびに「人の手でよくぞここまで作りこんだな…」と舌を巻きます。
こんな菊の盛りの季節に、よく晴れた日のことを「菊日和」といいます。汗ばむこともある10月の陽気から、次第に冬に近づいていくこの季節。空気は次第にひんやりして、それこそ菊の香りがしみとおるような清冽さがあります。菊日和というのは、そんなこの季節の空気をうまく表現した言葉だと思います。
季節は徐々に、移動性高気圧が周期的にやってくる季節から、西高東低の気圧配置の季節に変わりつつあります。地域によっては木枯らしが吹くところもあることでしょう。菊日和は、冬に入る前の一瞬の生命の華やぎを感じさせる日なのだと思います。

今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
